第八章 南国リゾートで金髪巨乳が遊ぶ
第238話 金髪巨乳は世界でも有数の美しい海に降り立つ
リビングで、ソファに座っている少女。
その人物の前に
「全てオーシャンビューで、バルコニー付きのツインとなっております。スイートを押さえたから、大人向けのシックで南国らしい陽気な空間です。お食事は、コックが目の前の鉄板で様々な食材を焼いてくれるお店、定番のフレンチと、ホテル内だけでも色々と楽しめます」
無言で
「施設も、温泉、マッサージと盛りだくさん! クルージング、シュノーケル、ヨットセーリング、ダイビングと、マリンスポーツなら一通りあるぞ!!」
必死に説得する俺に、テンションが上がってきた金髪少女が言う。
「…………いつまで?」
「夏休み中! もう課題うんぬんって段階じゃないから、日にちを気にせずに楽しもう!!
俺の言葉に、
「そうね! うーん、楽しみ!! で、いつ出発するの?」
「メグさえ良ければ、明日にでも!」
それを聞いたマルグリットは、今日中に準備をするわ! と言い残して、自宅に帰った。
◇ ◇ ◇
同じ日本であるのに、特別な青い空と、白い雲!
快適なファーストクラスで、ただいま
もー、すごい!
飛行機の窓から見える滑走路の周辺にある海が、綺麗なブルー!!
深い青のコバルトブルーから浅瀬の明るいライトブルーまでのグラデーションが、たまらないぜ……。
今回の滞在でかかる費用は!
払っておけや!
夏休みの半ばであるものの、空港は賑わっていた。
世界中から観光客が来る。
着陸した飛行機から降りて、手荷物受取所の人混みを見た時に、外国人の姿が多いことに気づいた。
フフ、今日の俺は一般人だから、海外勢がいそうだ と怖がる必要はないのさ。
最近は、色々なことがあって、疲れた。
さあ!
この夏休みは、咲良マルグリットと思い切り遊ぶぞ!!
ターンテーブルで回ってきたスーツケースを持ち上げ、俺とマルグリットの荷物を回収。
さて、リゾートホテルの送迎は、と。
ウキウキしているマルグリットを後目に、ぐるりと空港のホールを見回した。
観光客を意識してか、通常の空港よりも
すると、“
「メグ、彼女が出迎えみたいだぞ?」
「ええ! 早く行きましょう!!」
俺の片手をとって、マルグリットが歩いていく。
今日の彼女は、ヴィンテージのガーリー系。
貴族のご令嬢が着ていそうな白のブラウスは、真夏にも向いている広めの襟元。
下は、ふわふわのプリーツスカート。
あえてロングのため、動いている時に見える部位は少ない。
バッグとシューズも、レトロ系で統一している。
小さく折り畳めてツバが広い、白の麦わら帽子もある。
2人でスーツケース付属のキャスターの音を響かせつつ、迎えの女性に挨拶をする。
「
プラカードを下げた女性は、にこりと微笑み、自己紹介をする。
「いえいえ! これも仕事ですから、お気になさらず……。私は、
最後の台詞だけ、ゆっくりと言うのは、怖すぎる。
俺と同じぐらいの年。
知性を感じさせる顔立ちの黒髪ショートカットで、可愛いのに……。
黄色がかった茶色の瞳は、探るように俺を見ている。
ここは
だいぶ警戒されているな。
ハッキリ言っておかないと、また変なトラブルに巻き込まれそう。
「観光です! リゾートホテルに滞在しますが、せっかくだから沖縄の名物を食べ歩きする予定でして……」
俺の返事を聞いて、琥珀は雰囲気を柔らかくした。
「そうですか! 大変失礼いたしました。うちには、霊場として部外者の立ち入りを禁止している場所がございます。一般向けの観光ルートに従っていれば、近づくことはないと思いますが……。もし “立入禁止” の警告がありましたら、お気をつけください! ご滞在中は私が案内しますので、24時間いつでもご連絡を! こちら、私のアドレスです」
この世界でも、沖縄には独自の文化があるのだな。
異能者が普通にいる世界だから、注意しないと……。
メッセージアプリでテスト送信をしたら、ポンッと返事を受け取った。
可愛いアイコンと一緒に、メッセージも。
“私、しばらく大丈夫ですから。いつでも、お呼びください ٩(๑♥ڡ♥๑)۶”
顔を上げたら、琥珀がニコッと微笑んだ。
その雰囲気を感じ取ったマルグリットが、前に出てくる。
「いい加減にしてくれる?」
彼女の怒気を含んだ声にも、琥珀は動じない。
スッとお辞儀をして、笑顔で謝る。
「申し訳ございません。ですが、女性をお連れしているとお聞きして、『男性ではあらぬ誤解や間違いを起こすかも』と危惧しまして……。今からでも、男性に担当者を替えましょうか?」
プランBで、すぐに来てくれるかもしれないが。
確かに、マルグリットを口説かれたら面倒だ。
俺は、彼女を
「メグ?」
ふうっと息を吐いたマルグリットは、仕方なしに言う。
「はいはい……。私が悪かったわよ……。でも、重遠に手を出したら、承知しないから!」
凄みのある視線を送るマルグリットに、琥珀は涼やかに答える。
「ご理解いただけて、嬉しく思います。それでは、室矢さま! ホテルへの車は、あちらにございますので」
琥珀が片手で示した方向には、高級車が停まっていた。
マルグリットは、彼女から視線を外して、自分のスーツケースを転がしながら、ずんずん歩いていく。
やれやれ、と思いながら、ただでさえ不機嫌なメグをどうやって満足させようか、と悩む。
彼女を追って、スーツケースを転がそうと思った時、琥珀が近寄ってきた。
「あ! お荷物をお持ちいたします!」
スーツケースの取っ手を握った琥珀は、さり気なく俺の耳元に口を寄せた後で、送迎車へ近づく。
開いている後部トランクに俺の荷物を入れると、そのまま横に控えた。
彼女にドアを開けてもらい、後部座席に乗り込み、不貞腐れているマルグリットの機嫌を取り始める。
助手席のドアを閉めた琥珀が、シートベルトを締めながら、運転手に声をかけた。
日本国内でありながらもエキゾチックな風景が、車窓で流れていく。
沖縄の暑さが、車内の冷房によって和らいだ。
リゾートホテルまでの移動中に、琥珀による案内がスタート。
「この度はファン・グランデ・リゾートホテルをご利用いただき、誠にありがとうございます! ホテルの敷地内に専用のビーチや釣り場もございまして、他の観光客とは別でアクティビティをお楽しみいただけます! ダイビングは体験コースなら飛び入り参加も可能ですし、クルージングのご予約もホテルで受け付けております。ご連絡をいただければ、私が沖縄の各アクティビティの手配もいたします。私は室矢さまの御用がなければ、基本的に顔を出しません。また、私は送迎、および異能者としてのガイドに過ぎず、ホテルとは無関係の立場です。どうぞ、ごゆっくり、沖縄の夏をご堪能ください!」
事務的な琥珀の説明で、ようやくマルグリットの機嫌が直ってきた。
疑問を口にする。
「食事は、ホテル内で選べるの?」
助手席の琥珀が振り返って、彼女に返事をする。
「はい! 室矢さまはスイートの2週間のご予約なので、施設内のレストランをご利用できます。場合によってルームサービスも可能ですが、一部のメニューは追加料金の発生で、鉄板焼きのように目の前で調理するタイプは必ず店舗まで行く必要があります。長期の滞在であれば、敷地外のお店に行くのもオススメです! 周辺の案内は、お部屋にございますから」
再びテンションが上がってきたマルグリットを見て、俺は安堵した。
夕飯と明日の予定は、チェックインを済ませて部屋に入ったら、すぐに確認しておくか。
それにしても、琥珀は
さっき、スーツケースを持ち運ぶ時に、俺の耳元で
『私も、同じホテルに部屋があります。良かったら、東京のお話を聞かせてくれませんか? すごく、興味があるんです』
エロゲだったら、のこのこ部屋へ遊びに行って、お約束通りにベッドイン。
琥珀にド
もしくは、彼女が呼んだマルグリットに、その光景を見られそう。
クリアでCG全開放にならないと、こういうイベントも回収する必要があるんだよな……。
まあ、冗談はさておき。
俺を誘惑するのはサブで、メインは監視役か。
マルグリットは護身用の
ホテルが無関係であることは、事実だと思う。
俺がうっかり誘いに乗らなければ、問題はない。
どうせ、誰かが監視するのだろうし。
これでホテルも共犯だったら、式神のカレナをけしかけて潰そう。
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