閑話 お母さんがいっしょ。


〜 ダンジョン都市【幸福の揺籃ウィール・クレイドル】 孤児院 〜


《モーラ視点》



 お空があかるくなって、目がさめるの。

 マナカお兄ちゃんにここにつれてきてもらって、なんにちかな?


 弟や妹たちは、みんな元気になったの。

 お兄ちゃんとお姉ちゃんも、おなかいっぱいごはん食べて、元気なの。


 朝ごはんにはまだはやいの。


 おへやの中をみると、弟や妹たちは、まだねむってるの。

 あたしはみんなより、ちょっとだけお姉ちゃんだから、はやおきするの。


 おふとんをたたんで、ベッドをきれいにするの。


 ろうかに出て、歩くの。


 ちゅーぼーから、いいにおいがするの!

 走って行くの!


「あら、いつも早いですねモーラ。おはようございます。」


「マリーお母さん、おはようございますなの。」


 マリーお母さんが、朝ごはんを作ってくれているの。


 マリーお母さんのおりょうりは、とってもおいしいの。

 なんだか、やさしい味がするの。


「マリーお母さん、あたし、おてつだいするの。」


「あら、本当ですか? それじゃあ、先に洗面所に行ってお顔を洗ってきてくださいね。ちゃんと歯も磨いてくるんですよ?」


「はいなのっ!」


 せんめんじょに行くとちゅうでお兄ちゃんのおへやとお姉ちゃんのおへやをのぞいたけど、2人ともまだ寝てたの。

 ねんちょーしゃなのに、だらしがないの。


 せんめんじょで、あたしの歯ブラシをとって、歯をみがくの。

 マナカお兄ちゃんがおしえてくれたみたいに、ひとつのばしょで10回、なの。


 歯みがきをちゃんとしないと、歯がぜんぶボロボロ取れて、オバケになっちゃうって、マナカお兄ちゃんが言ってたの。

 だから、ちゃんとみがくの。


 オバケはこわいの……!


 お口をブクブクして、うがいもガラガラするの。

 つぎはお顔をあらうの。


 お顔ようのせっけんをアワアワするの。

 アワアワしたら、やさしくお顔をあらうの。


 こすったらダメだよって、マナカお兄ちゃんがおしえてくれたの。

 このアワアワがきもちいいの。

 ほしつせいぶんはいごう? で、赤ちゃんもあんしん? なの。


 ぬるいお湯でアワアワをながすの。

 このときもこすっちゃだめなの。やさしく、お湯をお顔にかけてながすの。


 ぷふう……ッ!


 タオルでお顔をふいて、かんりょーなの。

 つかったタオルは、おせんたくのカゴにいれるの。


 それじゃ、マリーお母さんのおてつだいに行くのっ!


「マリーお母さん、なにすればいいの?」


「おかえりなさい、モーラ。そうねぇ、先ずはみんなのお皿と深皿を並べてちょうだい。ちょっとずつ、気を付けて運んでくださいね。」


「はいなのっ!」


 マリーお母さんが出しておいてくれたおさらを、3枚ずつ、しょくどうにもって行くの。


 みんなのイスの前にならべたら、こんどはふかざらなの。

 ふかざらも、3枚ずつはこぶの。


 おとしてわれちゃうと、マリーお母さんがかなしくなっちゃうの。

 だから、きをつけるの。


 よし、できたの。


「マリーお母さん、おさらならべたの。つぎはなにするの?」


「ありがとう。次は、フォークとスプーンを並べてくれますか?」


「はいなのっ!」


 フォークとスプーンは、2つの小さなカゴに入ってるの。

 マリーお母さんがよういしてくれた台にのって、テーブルの上からカゴをとるの。


 ちょっとおもたいけど、りょう手でもって、しょくどうにはこぶの。


「ふあぁっ……! おはよー。って、モーラ早いわねぇ。」


 スプーンをならべてたら、お姉ちゃんのエリザがおきてきたの。

 まだねむたそうで、アクビしてるの。


「お姉ちゃんおはようなの。ちゃんとおふとん、たたんだの?」


「うっ……! 分かってるわよっ。マリー母さんに挨拶して、顔を洗ったらやるわよ。」


 うん、ならいいの。

 あたしはスプーンをならべおわって、つぎのおてつだいなの。




「さあ、みんな朝ですよ〜! 起きてくださいね〜。」


 マリーお母さんといっしょに、弟たちをおこしにきたの。


「ううぅぅ〜。もうちょっとぉ〜……!」


「あらあら。ノエル、起きないと朝ご飯が食べられませんよ?」


「うぅぅ、いやあぁぁたべるぅ〜。」


「はい、良い子ですね。おはようございます。」


 マリーお母さんは、やさしいの。


 いちばん小さいノエルが、ちゃんとおきたの。

 それにくらべて……


「こら、ビス! ナット! 早く布団から出てきなさい! アンカは座ったまま二度寝してるんじゃないわよッ!?」


「やだよ〜ねむいよぉ〜。」


「ふっ。われのてっぺきのまもりをこえてみせるがよい!」


「…………くぅ。」


 やれやれなの。

 お姉ちゃんがほんきでおこらないから、ちょーしにのってるの。


「ビス、ナット、アンカ。朝ごはんぬきなの。」


 そんなこまった弟には、ごはんはあげないの。


「ちょっ!? モーラ姉ちゃん、ひでぇ!?」


「くっ!? まさかモーラ姉ちゃんがそのじゅもんをしっていたとは!? われのまもりを、とっぱしただとおっ!?」


「…………ふごっ!?」


 よしよしなの。3人とも、とびおきたの。


「モーラ……アンタ、容赦無いわね……!」


「なさけはむよう、なの。」


 あとは、いちばんのきょうてきなの。


「ボルトったら、あんなに騒いでるのに良く寝ていられるわよねぇ……」


 あたしのつぎにお兄ちゃんのボルトなの。


 ボルトは、ちょっとやそっとじゃおきないの。

 ベッドからおちたって、そのままねむりつづけるほどの、もさなの。


「よしモーラ、任せるわよ。アタシは兄さんを起こしてくるわ!」


 ……にげたの。

 この前おこそうとしてつかまってだきまくらにされたのが、よほどこたえたらしいの。


「ボルト、朝ですよ。起きてくださいね〜。」


 ゆさゆさ。


 マリーお母さんがボルトをゆするけど、まったくはんのうなしなの。


「マリーお母さん、あたしにまかせるの。」


「……あまり乱暴は、いけませんよ?」


 ……? 昨日おこしたときのことなの?


 やだなぁ〜、なの。たかが、にんげんトランポリンなの。

 ちょっと、弟たちと4人でいっせいにやってみた、ただそれだけなの。


「わかってるの。おんびんに、すまーとに、ヤルの。」


「本当に大丈夫ですか!? なんかニュアンス違いませんか!?」


 きのせい、なの。


 まずは、ボルトのベッドにのぼるの。

 そしてボルトのお顔にちかづいて、そのお鼻をつまんでやるの!


「モ、モーラ? まさか……ッ!」


 少しまてば、ボルトはお口をあけるの。

 そしたら、そのお口も手でふさいでやるの!


「ちょっ……モーラッ!?」


 だまってるの、マリーお母さん! いっしゅんのちゅうちょが、いのちとりなの!


 だんだんと、ボルトのお顔があかくなってくるの。

 プルプルふるえはじめたの。


 ふっ。かったの。


「ぶはあッ!? ゲホッ、ゴホッ!? ……姉ちゃん、コロスきかよッ!?」


 あたしの手をたたいてきたから、はなしてやったの。

 お顔をまっかにして、ボルトはゼェゼェいってるの。


「マリーお母さんがやさしくおこしても、おきないからわるいの。はやく、おふとんたたむの。」


 ボルトをおこして、うごくようにいうの。


「モ、モーラ……? お母さん、あの起こし方はどうかと思うのだけど……」


 マリーお母さんが、そんなことをいってくるの。


「むぅ、わかったの。あしたは、またべつのほうほうで、ヤルの。」


 これでいくつめなの?

 またあたらしいネタを、しいれなければなの。


 マナカお兄ちゃんに、おしえてもらうの。


「おれ……そのうち姉ちゃんにコロされるかも……」


「おきればよかろう、なの。」


「そうですね。ボルトはもう少し、自分で起きられるように頑張りましょうね。さあみんな、お顔を洗って歯を磨いて、朝ご飯ですよ〜!」


「「「「はーい(なの)!」」」」




 朝ごはんなの。


 今日のごはんは、ぎゅうにゅうのシチューとパン、それからやいたハムと、めだまやきなの。

 せんぎりキャベツはたべほうだいなの。


 シチューはお母さんがじゅんばんによそうの。

 お兄ちゃんがキャベツ、お姉ちゃんがめだまやきとハムをくばるの。


 あたしは、パンをくばるかかりなの。


「お兄ちゃん、じぶんのだけキャベツが少ないの。ズルはダメなの。やさいも食べないと大きくなれないって、マナカお兄ちゃんが言ってたの。」


「うっ……! わ、分かったよモーラ……!」


「お姉ちゃん、ハムは大きいのと小さいのを、ばらんすよくくばるの。ふこうへいは、けんかのもとなの。」


「はいはい。モーラは細かいんだから。それもマナカ兄さんでしょ?」


「なの。あと、『はい』は一回なの。」


「ふふふっ。モーラは本当に、マナカさんのことが大好きなんですね。」


「なのっ!」


 マナカお兄ちゃんはなんでもしってるの。

 お空もとべるし、お話はおもしろいし、おかしもくれるし、やさしいの。


「でも、マリーお母さんも、マナカお兄ちゃんのこと大好きなの。」


「モ、モーラさんっ!? 何を……っ!?」


「マナカお兄ちゃんとあそんでるとき、いつもマナカお兄ちゃんのことをニコニコ見てるの。」


「そそそそんなことはないですよっ!? さ、さあ! お祈りして食べましょうっ!?」


 むぅ、ごまかしたの。

 マリーお母さん、すなおじゃないの。



『 天にまします母なる女神よ。』


『今日この日に感謝します。』


『命の恵みに感謝します。』


『その豊かなる慈しみを』


『わたしはひとへと分け与えます。』


『願わくば、愛と慈しみと安らぎが』


『この世に満ち、足らんことを。』


『今日この日に祈ります。』



 やっぱり、おいのりのことばは、むずかしいの。

 こんど、マリーお母さんにいみをおしえてもらうの。


「さあ、それじゃあみんな、いただきましょう。」


「「「「いただきまーす(なの)!!」」」」


 今日も、マリーお母さんのおりょうりはおいしいの。

 キャベツも3回おかわりしたの。




 ◇




 お昼までは、こじいんのおそうじなの。


 こじいんには、マリーお母さんのほかにはシスターがいないの。

 でも、朝ごはんがおわったころには、まちのお姉さんたちがおてつだいにくるの。


 いちばん小さいノエルはマリーお母さんがみてて、あたしたちはまちのお姉さんたちといっしょに、てわけしておそうじなの。


「モーラちゃん、お洗濯上手になったわねぇ。」


「マリーお母さんにコツをきいたの。つぎはおりょうりをならうの。」


「頑張り屋さんねぇ〜。」


 まだまだなの。

 もっといっぱいおべんきょうして、マナカお兄ちゃんにほめてもらうの。


「こらナット! カーテンは魔法使いのローブじゃねえぞ!?」


「わ、われのころもをはぐというのか!? よせ! ふういんが!?」


「おいビス、まどの上ふくから、おれをかたぐるまするんだ!」


「やだよ!? ボルト兄ちゃんおもいもん! ふつう小さいボクが上でしょ!?」


「アンカ!? またボーッとしてて転んだわね!? ああもう、頭からバケツ被って……!」


 おそうじをしてるのか、よごしてるのかわからないの。


「こら、あんた達! 真面目にお掃除しない子はお昼ご飯抜きだよッ!?」


「「「「そんなぁー!!??」」」」


 まちのお姉さんにおこられてるの。

 いいきみなの。


 みんながあそんでいるうちに、あたしはいっぽもにほも、さきをゆくの。


「あらあらノエル? 寝ちゃったのかしら?」


 マリーお母さんにだっこされてたノエルがねちゃったの。


 うん、わかるの。マリーお母さんのおむねはすごいの。

 ギュッてすると、やわらかくて、あったかくて、しあわせなの。


 マナカお兄ちゃんも、マリーお母さんのおむねをよく見てるの。

 あたしのおむねも、あのくらいになるかな?


 …………ぎゅうにゅうを、いっぱいのむの!




 まちのお姉さんたちがつくってくれた、お昼ごはんもおいしかったの。

 おうちにあるおやさいとか、おにくとかをもって来て、おりょうりしてくれるの。


 それで、いっしょにお昼ごはんを食べると、お姉さんたちはおうちにかえるの。

 また明日ねって、おわかれするの。


 お姉さんたちがかえると、弟たちはお昼ねするの。


 あたしは、お兄ちゃんとお姉ちゃんといっしょに、もじのおべんきょうなの。

 マリーお母さんは、お母さんだけどせんせいなの。


「あら、ラッカ。綴りが間違っていますよ?」


「うええ!? どこ?!」


「マリー母さん、これはなんて読むの?」


「はいはい。それは、『秘密』と読むんですよ。ナイショっていう意味ですよ。」


 マリーお母さんせんせいは、おべんきょうのときもやさしいの。

 まちがってても、わからなくても、おこったりしないの。


「まあ。モーラはだいぶ字が上手になりましたね。今日憶えたのは……『悪魔』ですか?」


「そうなの。『天使』と『悪魔』をおぼえたの。マナカお兄ちゃんも悪魔なの。」


「ふふふ、そうですね。マナカさんは、アークデーモンっていう、偉い悪魔さんなんですよ?」


 すごいの! マナカお兄ちゃんは、やさしいだけじゃなくて、えらいの!


「でも、なんで天使と悪魔はたたかうの? なかよしじゃないの?」


 えほんの中の天使と悪魔は、ゆみとやりでたたかっているの。


「昔から、天使様は神様の御使いで、悪魔さんは悪いモノと言われてましたからね。天使様は正義で、悪魔さんは悪いから、懲らしめているんです。」


「でも、マナカお兄ちゃん悪魔さんだけど、あたしたちをたすけてくれたの。ごはんも、おようふくも、おうちもくれたの。」


「そうですね。全部の悪魔さんが、悪いわけじゃないのかもしれませんね。マナカさんみたいな悪魔さんも、他にも居るのかもしれませんね。」


 いたらいいの。


 悪魔さんとなかよくなって、まほうをおしえてもらうの。

 それで、マナカお兄ちゃんに見せて、ビックリさせるの。


「ですがモーラ。逆に言えば、悪さをする悪魔さんも居ますからね? 人と同じですよ。良い人も居れば、悪い人も居ます。知らない人には、簡単に近付いてはいけませんよ?」


「はいなのっ。」


 マリーお母さんのおべんきょうは、とってもわかりやすいの。

 もっともっとおべんきょうして、たくさんもじをおぼえるの!




 おべんきょうがおわると、じゆうじかんなの。

 おにわであそんでもいいし、えほんをよんでもいいし、マリーお母さんにあまえてもいいの。


「マリーお母さん、ノエルがだっこしてほしいって言ってるの。」


「あらあら、またですか? ノエルは甘えん坊ですね。」


 マナカお兄ちゃんに見てもらったら、ノエルは5さいだったの。

 きっとホントのお母さんに、あんまりだっこしてもらえなかったの。


 しょうがないから、お姉ちゃんもだっこしてあげるの。


「ノエル〜、モーラお姉ちゃんも、だっこしてあげるの。」


 おいでおいでーなの。


「やー! おねーたんかたいのー!」


 ガーンなの……ッ!

 やっぱり、おむねなの……!?


 あたしはじぶんのおむねをペタペタさわってから、マリーお母さんのおむねを見るの。


「だ、大丈夫よ、モーラ。すぐに、モーラも大きくなりますよ……!」


「マリーお母さんくらいになるの?」


「そ、それは……!」


 神さまはふこうへいなの!

 あたしにおむねがないせいで、ノエルにきらわれたの!


「マナカお兄ちゃんも、マリーお母さんのおむねのほうが好きなの……」


「な、何を言ってるんですか、この子は!?」


「だって、よくマリーお母さんのおむねを見てるの。」


「そ、そんな!? マナカさんたら……! でも……マナカさんなら……」


「マリーお母さん?」


「おかーたん?」


「はっ!? ……コホンッ。いいですか、モーラ。胸は、大きくなる人も居れば、そうでない人も居ます。ですが、胸の大きさが全てではありませんからね!?」


「でも、マナカお兄ちゃんは大きいおむねが好きなの。」


「そ、そうと決まった訳ではありませんよ!? それにマナカさんは、胸の大小で価値を決めるような人ではありませんから!」


 そうなの?

 おむねがちっちゃくても、だいじょうぶなの?


「ほ、ほら! マナカさんがお好きな女神様だって、小さいでしょう?!」


 はっ! そういえば、なの。

 れいはいどうのまんなかの神さまは、マナカお兄ちゃんのとくべつだって、マリーお母さんが言ってたの。


 あたしと、そんなにかわらないの。


 ふむ。きぼうが見えてきたの!


「(ふぅ……なんとか誤魔化せました……! ククルシュカー様、申し訳ございません! 神様を引き合いになど、罰当たりなことを……!)」


 なんかマリーお母さんがブツブツ言ってるけど、よくきこえないの。


 とにかく、小さくてもだいじょうぶなの!

 でも、ぎゅうにゅうはたくさんのむの!




「ほらほら。ちゃんと髪を拭いて、乾かしてくださいね。ラッカ、弟達をお願いしますね?」


「分かったよ、マリーさん。ほら! お前らこっち来ーい!」


 男の子たちのおふろがおわったの。


 マリーお母さんはビショビショなの。

 きっとまた、ビスとナットがあばれたの。


 あとで、おせっきょうなの。


「さあ。女の子達も、お母さんと一緒にお風呂に入りましょうね。」


「「「はーい(なの)!」」」


 だついしつでおようふくをぬぐの。

 ぬいだらノエルのおてつだいなの。


「ノエル、おゆに入る前にからだをキレイにするの。」


「あーい。」


「モーラ達、すっかりお風呂好きになっちゃったわね。」


「仕方ありませんよ。お風呂は気持ち良いですからね。」


 ぼでぃそーぷをアワアワして、すぽんじでやさしくあらうの。


 ノエルのからだをあらったら、こうたいなの。

 ノエルにせなかをあらってもらうの。


「イタタタなの!? ノエル痛いの! つよすぎるのっ!」


「あらあら。ノエル、お母さんと交代しましょう。お母さんのお背中を洗ってくださいな。」


「あいっ!」


 はふう。

 マリーお母さんがやさしくあらってくれて、きもちいいの。


 って、マリーお母さん、前はっ!?


「ま、マリーお母さん、前はじぶんであらうの!」


「あらあら。遠慮しなくて良いんですよ? モーラはしっかり者で良いお姉ちゃんですけど、私の大事な娘なんですからね。」


 あううぅ……! は、はずかしいの……!


「ねえ、マリー母さん。」


「なんですか、エリザ?」


 うう……はやくおわるのおおぉ……!


「マリー母さんみたいにオッパイ大きくなるには、どうすればいいの?」


「んなっ!?」


 むむ!?


 お姉ちゃん、ナイスなしつもんなの! そのちょーしで、ひけつをきき出すのっ!


「アタシ12歳なのにまだペッタンコだし……どうすれば大きくなるのかなって……」


 たしかに、お姉ちゃんのおむねはペッタンコなの。

 あたしより2さいもとしうえだけど、いいしょうぶなの。


 というか、なの。


 あたしの目の前で、大きなマリーお母さんのおむねがプルンプルンしてるの。

 おようふくをきてないと、もっとすごいの。


 ……おおう。


「さ、さあ……胸の成長は個人差がありますから。良く聞くのは、牛乳を良く飲むだとか、背中を鍛えるとかですね。」


「じゃあ、マリー母さんもそうしたの!?」


「い、いえ……私は、10歳頃から大きくなり始めて、14歳の頃には既に今と変わらなく……って、エリザ泣かないで!? モーラまでっ!?」


 うううぅぅ!


 やっぱり、神さまはふこうへいなの!

 こんな……こんなけしからんおむねは、こうしてやるのッ!


「ひゃんっ!? モ、モーラ!? なにして……ひゃうんッ!?」


「モーラ! アタシも助太刀するわ! 大きいオッパイなんてぇッ!!」


「こら、2人とも……うぅんっ! やめっ……ああんっ!?」


「ノエルもノエルもぉーっ♪ モミモミ〜っ♪」


「の、ノエルまでっ!? あっ、ぅんっ! こらぁ……やめっ、うあぁんっ!」


 大きなおむね、ゆるすまじ、なの。

 てんちゅーなのっ!


 明日から、いっぱいいっぱいぎゅうにゅうのんでやるのー!!


「あっ……うぅんっ!? あひゃあぁん………ッ!!」


 あれ? マリーお母さん、どうしたの?

 のぼせちゃったの?



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