[ホラー小説]旧校舎の幽霊①
僕はとある中学校に通っていた。そこは何年か前に校舎を移転して、旧校舎は今もなお残っている。
「うぐっ…! かぁ…ぐはっ!」
僕は今、人生最大のピンチを迎えていた。朝は普通に授業を受けていたのだが、2時間目ぐらいお腹が痛くなってきた。
「うぐっ…! 昨日食べすぎたのかな?」
トイレに行くことにした。すると何人かトイレでオシッコをしている人がいた。
「こ、こんな時に限ってクソォー!」
「なんだあいつ?」
この状況で男子がトイレの個室に堂々と入るというのはかなり勇気のいることだった。
もしここで個室に入ろうものなら、みんなからは「うんこマン」というあだ名を付けられるかもしれない。
そう思うとなかなかトイレの個室には入れなかった。
「よし、あそこなら!?」
そこで自分は今では使われていない旧校舎の存在を思い出して、わざわざ少し離れた旧校舎に用を足しに行くことにした。
休み時間は10分ぐらいしかないのでダッシュで旧校舎へと行った。
「うぅ…なんか汚い校舎だな…。早く済ませて教室に戻ろう!」
旧校舎に着いて中へ入ってみると、誰もいなくて電気もついていなかった。
昼間にも関わらず妙な気味の悪さがあった。
だかしかし、何を思ったのか自分は同級生にどうしても個室に入っているのがバレたくなくて、念を押して旧校舎の入り口から1番遠いトイレに行くことにした。
「よし、ここまで来れば誰も来ないよな」
1番遠くのトイレに着いたので早速個室に入って用を足すことにした。
「ふぅ…」と息を吐いた。かなり我慢していたからか、ものすごく大量に出てスッキリした。
「よし、教室に戻ろう!」
ドアを開けようとしたら個室の外に誰かの気配を感じた。
「あれ…!? 何でこんなところにわざわざ人が来るんだ…!?」
わざわざ1番遠くのトイレを選んだのに人がいるなんて正直最悪だと思った。
何分経っただろうか、いくら待ってもその気配は消えなかった。
クソッ!早くここから出ないと授業に遅れちまうじゃないか…!と内心かなり焦っていた。
そう思った矢先に外のトイレから人の気配が消えた。
「よし、今だ!」と思ってトイレを勢い良く飛び出して走って教室へ戻ることにした。
だかしかし、何か後ろから引っ張られるような感じがしてなかなか走っても走っても前には進まなかった。
「なんで?」
そして後ろから「ズボボボボッ!」という謎の声がする。
僕はゆっくりと後ろを振り向いた。
「うわああああ!」
そこには、髪の長い女が凄い形相で辺りの空気ごと口で吸引して僕を吸い込もうとしていた。
それを見た瞬間に背筋が凍るような感覚を覚えた。
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