死体のあった痕跡を消す危険な部活②(終)

「じゃあ早速これを掃除してもらおうか」

「え、はい…」


 連れてかれて、言われた掃除をする場所を見てみると何やら赤いペンキで汚れたような部分があった。


「まあここらを適当に洗い流して掃除しておけ」


 そう言うと他にもてきとうに掃除の道具を渡されたので、自分はそのまま黙って掃除をした。

 それにしても何の掃除なんだろうか? それにこの赤いペンキも何だか血に見えなくもない。


プルプルプル!

「あ、もしもし? 今こっちは忙しい! ちっ、分かった。すぐに向かう」


 そのあと黒服の人達はどこかへ行く。自分はひたすら掃除を続ける。

 そして数十分が経過した。


「あ、掃除終わったか?」


 黒いスーツの人がすぐにまた来た。


「は、はい」

「そうか、じゃあすぐに俺の後に付いてきてくれ」


 そう言われてまた自分は黒いスーツの人の後を付いていく。

 数分歩いてまた掃除場所に着いた。


「今度はこれをやっといてくれ」


 また赤いペンキをこぼしたような汚れだった。


「あのこれってなんな…」


 自分は赤いペンキが何なのかを聞こうとしていた時だった。

 すぐ近くで黒いスーツの人達が数人でブルーシートで包んだ何かを運んでいた。

 よく見てみるとブルーシートから何か人の足のようなものがはみ出ていたのを確認してしまった。


「ひえっ…!」

「お前、もしかしてあれ見ちゃった?」


 黒いスーツの人にそう聞かれた。


「は、はい…」


 自分は正直に答えた。もう間違いない。この部活は死体を片付けた後にその場に残った痕跡を洗浄する部活だ。


「そうか、絶対に内緒な」

「……………」


 黒服はなぜかニヤッと笑う。自分の頭の中はパニック状態だった。

 どうすればいいのだろうと。


「とりあえず、さっさと汚れを掃除してくんねぇかな」

「あ、すいません!」


 自分は血の痕を掃除をした。この後もこんな感じで血の痕を掃除させられた。

 自分はこんな部活もうやっていられないと思った。

 そして数時間が経つ。


「今日の部活はこれで終わりだ。お疲れな」

「は、はい…」


 部活が終わって黒いスーツの人がそう言った。

 黒服はポケットからたばこを取り出してライターに火をつけて吸い始める。

 本当にこの人達は高校生なのだろうか?


「すいません、もうこの部活やめます」


 自分はもう耐えられなくなり部活をやめることを切り出した。


「あ? お前それ本気か?」

「は、はい…。すみません! それじゃ!」


 自分は逃げるように走り出した。


「おい待てよ。止まれよ!!!」

 

 黒服に引き止められた。空気が凍りついて時が止まったかのように感じられた。


「は、はい…」


 自分は振り向いた。


「ふぅ…忘れ物だぜ。もってけよ」


 自分は黒服から封筒を渡された。封筒の中身を見てみるとお札が何枚も入っていた。


「え…!?」

「お前はまだ体験入部の段階だ。だからやめるもやめないもお前の自由だ。ただ、もしまだ続ける気があるっていうなら、明日また俺の携帯に電話をしろ。以上だ」


 こうして今日のところの体験入部は終わった。




 次の日に学校に行って部活のボードを見てみると昨日の部活の貼り紙は貼られていなかった。

 ただし、自分の携帯の電話履歴には黒服の電話番号がある。

 意外と給料も良かったこともあり、自分は昨日の黒服に電話をかけてみようか悩んでいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る