異世界から来たレストラン③(終)

「まず、このレストランは実を言うとこの世界の人が通うレストランではないのです。今回はお客様がお腹が空いていたようだったので、特別にお店に入れてあげました。今日はお店が営業していなくて幸運でしたね。営業していたらすぐに追い返してましたよ。」

「ははぁ…」

「このレストランの近くに私達の住む世界とこの世界とを繋げるゲートがあります。そのゲートを通ってこの世界に来た人達がここを利用します。そうして収益を出しているのです」

「な、なるほど…」


 次から次へと衝撃の事実が出てきて、頭が追い付かなかった。


「このレストラン、本当はこの世界の人間が立ち入っちゃいけない特別区なんです。もちろんこの国の許可は秘密裏に得ていますよ! 今回は特別ですからね! 絶対に内緒ですよ!」


 店の人は人差し指を口の前に寄せてシーッ!のポーズをしながらそう言った。


「も、もちろん言いません!」


 だって死にたくないもん…!


「あとですね、実はもうこの世界には私達の世界から来た人達が普通に暮らしているんですよ! みんなこの世界の人達に擬態して生活しているんです! 多分、お客様も街中で私達の世界の人と普通にすれ違ってます!」


 店の人はぺちゃくちゃと衝撃の事実を次々と語りだした。


「そ、そんなことまで喋っちゃっていいの!?」


 もう自分は話している内容の次元が違いすぎて何を聞いているのか途中で分からなくなっていた。

 でもこの話が本当なら、なおさら言えないなと思った。


「私、お客様のことを信用してますから! もしお客様が誰かに喋ればおそらく私も消されますね! 運命共同体です!」


 店の人はニコニコしながらそう言った。


「信用してくれてるなんてあ、ありがとね」


 こんな形で運命共同体になろうとは…。


「でもいつか、ここのお店にお客様のようなここの世界に住んでる人が来てくれる日が来ればなと思っていますよ。その日は、すぐじゃないですけどいつの日か必ず訪れると思います」

「その日が来るといいね。その日が来たらまた食べに来るよ」


 ヒッカニーニをまた食べたいなと思っていたのだった。


「あの、良ければ私が下まで送っていってあげますよ! お客様がこのまま歩いても普通の道に出られず野垂れ死ぬだけですからね!」


 店の人は笑顔でえげつないことを言った。


「た、頼むよ」


 たしかにこのまま歩いても帰れないので頼むことにした。


「それでは行きますよ!テレポーーーート!」


 店の人が自分の手を握ってから、そう叫ぶと次の瞬間には国道沿いに出ていた。


「すごい! 本当に山から出られた! これで帰れるぞ!」


「良かったですね! あと、さっきの私達の店にいつかまた来るって約束絶対に守ってくださいね!」

「絶対に守るよ!」


 それを聞いて安心したのか、店の人は手を振ってそのままテレポートで消えた。

 こうして自分は不思議な体験を終えた。世界は不思議に満ちていて面白い。

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