最悪な悪霊が誕生するまで①

 自分は道を歩いていた。すると前方から屈強な男がトコトコと歩いてくる。


嫌だなー怖いなー。とにかく自分は目線を合わせないようにしよう。


 トボトボと歩く。すると、すれ違い様の瞬間に…


「フンッ!」

「ぐはっ…!?」


 屈強な男から繰り出された強烈なタックルが自分を吹き飛ばした。

 自分はそのまま後頭部から思いっきり倒れて地面に強打する形となった。


「フンッ!」

「あっ…」


 そして屈強な男はどこかへと去っていった。


いきなりラリアットするなんてなんてひどいやつなんだ…!


「イタタタタ…。さっき頭打ったな。ここはどこだろう?」

「ようこそ、いらっしゃいませ。やっと目を覚ましましたか」

「え…!?」


 目の前にナース姿で天使の輪っかを頭に着けたお姉さんが立っていた。

 自分は天へ召されてしまっていた。自分はまだ生きてると思っている。


「いやー、屈強な男にラリアットを食らって最悪だと思ったけど、これはラッキーだな」

「あなた、何を言っているのですか?」

「いやいやお構い無く!」

「今、あなたは生死の境を彷徨っています」

「ふむふむ。え!?」

「間も無く死にます! これは確定です! 絶対に死にます!」

「えぇ…」


 全然ラッキーなどではなかった。目の前の天使のようなお姉さんは本当に天使だったらしい。


「さっき生きるか死ぬかの境目みたいなことを言ってましたよね!? なんで死ぬの!? 本当は助かりますよね!?」

「助かりません!」

「ちょっとちょっと!? 一体どういうことよ! 僕どうなっちゃうの!?」

「現実世界のあなたは今この瞬間に緊急手術を受けている状態です」

「ならまだ助かる可能性があるじゃないですか!?」

「私は未来をも見通せるので分かります! あなたは死にます!」

「いやいや、そんなこと信じないね!」

「じゃあ現実世界のあなたの様子を見てみましょうか」

「は、はい」


 テレビに映像が映る。そこでは手術が行われていた。


「あーめんどくせ。なんだこのガキ。つかタバコ吸いてぇ…」


 ヤブ医者が手術をしていた。


「はい、僕死にましたね」

「でしょ。まあこのまま見てみましょうか」


 2人で手術の様子を見ていた。


「こんなガキはてきと~に手術しておけばいいんだよ。よーし、てきと~に頭を切って行くぞ~」


 頭から勢いよく血が出てきた。


「うわっ、きたねぇ…」

「ちょっと先生! すごい血が出てますが大丈夫なんですか!?」

「お前は黙っとけ!!!」

「すいません…」

「あのなぁ、俺は今1秒でも早くタバコが吸いたくてしょうがねぇんだよ! あんまり俺をイラつかせるなよ! 今の俺は何をしでかすか分からねぇぞ!」


 ヤブ医者は手にメスを持った状態でプルプルしていた。


「つか、タバコ持ってこい!」

「はい!」


 ヤブ医者は疲れたのか、そのまま近くにあったイスに座る。


「はぁ、このガキはもう助からない。ニコチンが切れてて手が震えて脳みそをミキサーしちまったじゃねぇか。まあどうせ最初から助かりっこねえんだから別にいいんだけどな。金さえもらえれば何だっていい…」

「タバコ持ってきました!」

「でかした、さて一服するか」


 手術室でタバコに火をつけて、そのままタバコを吸う


「スーハー。うめぇー! これだよこれ! いやー、禁煙とか1時間でも無理だわ!」


 ここで現実世界を映したテレビを消す。

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