ベルトコンベアーの先に待ち受ける者
「ここはどこだろう? 」
目が覚めると知らないところにいた。自分は周りを見渡してみた。
「なんなんだよ…」
自分はどうやらどこかの工場みたいなところにいるっぽいようだ。
そして自分の身体が何か動いているような気がした。
「こ、これは…」
なんと自分はベルトコンベアーの上にいたのだった。
景色が動いて見えていたのは下のベルトコンベアが動いていたかららしい。
でもこのベルトコンベアは果たしてどこに行き着くのだろうか?
自分は身体を起こして立とうとした時だった。
「な、なぜだ? 身体が思うように動かない!?」
身体がまるで金縛りにあっているみたいだった。
いくら身体を動かそうとしても、謎の力が働いていて全く身体が動けない。
「おいおいおいおい…。 嘘だろ…!?」
こういう時はだいたいなんか嫌なことが起きるのだ。
自分は起き上がることの出来ない身体を引きずってベルトコンベアの下を覗き込む。
「なんだこれは…!?」
すると、マグマのようなものが見える。マグマの光に照らされて工場の中は若干明るい感じだ。
どうやらベルトコンベアーは高い位置にあるらしい。
「クソ、頼むから動いてくれ。俺の身体…!」
少し時間が経つと上半身だけ自由に動かすことが出来るようになった。
「足はまだか…。まあ上が動くだけマシだよな」
自分は後ろを振り向く。
「おい、なんだよあれ…?」
ベルトコンベアーの先の方を目を凝らして見てみた。
自分は見たことをとても後悔した。なんと大きく口を開けた化け物がいたのだ。
「おいおい嘘だろ…」
このままベルトコンベアーで流されていけば確実に食われる。
もう自分は食われる以外に道はないのかと思った。
今こうしている間にもベルトコンベアーは絶えず流れ続けていく。
次々とベルトコンベアーの上の荷物のようなものが怪物の口の中へと入っていく。
もしあの化け物の口の中に入ったら一体どうなってしまうのだろうか?
もう2度と脱出できないのかもしれない、そんな予感がする。
こうしている間にも化け物との距離はどんどん縮まっている。
「うっ、酷い臭いだ…」
そこら辺から謎の異臭が立ち上っていた。
この異臭は一体何の臭いだろうか?
正直考えたくもなかった。それよりも早くここから脱出する方法を考えなくてはならない。
下からは何かを溶かすような音が聞こえる。
「ヒヒヒヒヒヒヒヒ!」
「えっ…」
化け物としっかり目があった。化け物は口を大きく開けて待っている。
何となくベルトコンベアーの下のマグマが何なのか分かってきた。
あれは流れてきた物を食って溶かしているんだ。
そして異臭は化け物の口から立ち上っているものだ。
自分もいずれは化け物の食道の中を通過することになるだろう。
そして下に落っこちて溶かされておしまいという訳だ。
「クソー! なんで足が動かないんだよ!」
ほふく全身のような形で来た道を引き返そうとするがベルトコンベアーの流れる速さの方が断然上だ。
化け物は口を開けて今か今かと自分が流れついてくるのを待っている。
そしてもう化け物の口の前まで来てしまった。
化け物の口の中から腐敗臭のようなものを感じる。
「もうダメだー!」
「ヒャヒャヒャヒャ!」
化け物は自分が口の中に入って喜んでいることだろう。
もう無理だと悟って自分は脱出する方法を考えるのは諦めた。
人間が死ぬ瞬間ってこんな感じなのかな。もう無理だと悟ったら何かもうどうでもよくなった。
しょうがないじゃないか。だって身体が動かないんだから。
自分は化け物の口の中に入って、そのまま食道のような縦穴に落ちていった。
そこからすぐに意識はぷつんと途切れた。
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