コバエと戦争

「ぷーんw ぷーんw」

「あークソがー!」


 私の部屋は夏場になると、よくコバエが発生する。


「イライラするんじゃー!」

「ぷーんw」


 顔の周りを飛んでいて鬱陶しい。こうなったら潰してやる。


「ふん!」

「ぷーんw」


 コバエを叩き潰そうと思ったら、自分の顔面を思いっきり叩いていた。


「いったぁー!」

「ぷーんw ぷーんw」


 私の痛そうな姿をみてコバエも心なしか嬉しそうに見える。


「いいから早く私に潰されろぉー! お前は私に潰されるべきなんだぁー!」

「ぷーんぷーんw」


 いくら潰そうとしてもギリギリのところでいつも逃げられる。


「こいつマジでムカつく…! お前は人をおちょくるのが透きだなぁー! そんなに楽しいかぁー!」

「楽しいよーw ぷーん、w」 

「あー、あったまキター! 絶対潰すわ!」

「忍法隠れ身の術w ぷーんw」

「うわー、消えたー!」


 コバエの動きが地味に速くて小さいからすぐに見失ってしまうのだ。

 しかも耳の近くで羽音がするもんだからゾワッとするような恐怖を感じる。


「うわー、耳に近づくなー! 本当にムカつく!」


 このままだと眠っている時に耳元に近づいてくる。

 こいつを倒さないと絶対に眠れないと思った。


「クソが! 絶対に潰してやる!」

「ぷーんw」

「ぷーんw」

「ぷぷぷぷーんw」

「え、嘘でしょ…」


 なんと自分の部屋に想像の10倍コバエがいた。

 次から次へと新しいコバエが湧き出てくる。

 まるで無限にいるんじゃないかと思えるようになった。


「も、もう無理ぃ…」

「ぷーんw ざーこw」


 このコバエの数はもうどうしようもない。

 コバエ取りを仕掛けているものの、一向にコバエの数は減っていかない。

 いや、普通に罠にたくさんコバエはかかっているものの、一向に減る気配がない。

 夏だと飲み物を置いて放置しておくとすぐにコバエがダイブして死んでいる。


「おえー! せっかく美味しいジュースを飲んでいたのになんでダイブしてくるんじゃ! おえー!」

「ごめん死んだ。チーンw」

こいつらは本当に本当に人の気分を不快にさせるのが得意だなぁー! ジュース返せ!」


 これだから私は夏が嫌いなのだ。早く冬になってほしいわね。

 この前はご飯を食べている時のことだった。


「ぷーんw 匂いに釣られてきちゃったw」

「こういう時に限って来るのか…」


 コバエがブーンという音を立てながらやってくる。

 美味しいご飯を狙ってきた。


「本当にコバエがいるってだけでもご飯がまずくなるじゃないのよ!」

「ぷーんw」


 本当に自分の寿命が1ヶ月減って良いから、この世の中からコバエが消えてくれないかな。

 私はそう願わずにはいられなかった。当然そんな祈りをしてもコバエは消えない。


「もうなんなよー! このコバエの数は!」

「ぷーんw」


 もしかしてこの家がおかしいのだろうか?

 この家がおかしいから、こんなにコバエがたくさんいるに違いない。

 この家はきっと何か原因があってコバエに侵略されているんだ。

 この地球(マイホーム)を守るためにみんな(1人)で力を合わせてコバエを退治しないと!


「さてと、ネットで検索と」


 他の家庭のみんなはどうやってコバエを退治しているの? もしかして、こんなにコバエが大量発生する私の家が異常なの?


 返信がすぐに来た。


 お前の部屋、臭いよ。

 実はお前がコバエなんじゃない?

 今から俺はお前を潰しに行く。


「あー、ネットに湧いて出るウジ虫がー!」


 ネットはすぐにやめた。だってみんな意地悪なんだもん。

 あーあ、自動にコバエを退治してくれるロボットがあればなぁ…。私はそう思わざるを得ないのであった。

 そういえば昔、蚊を自動にレーザー光線で撃退してくれるという装置があったような気がする。

 その装置を家庭用に誰か作ってくれないだろうか? それがあったら私の家は快適になるであろう。


「もうコバエに怯える生活は嫌だよー」


 いつまでこんな精神状態でいなくてはいけないのだろうか?

 誰でも良いから助けて欲しい。

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