[ホラー] 一人暮らしがしたい

 俺は大学生になって一人暮らしがしたいと思い、親に一人暮らしがしたいということを頼んでみた。


「あんた家から通えるんだから一人暮らししなくてもいいじゃない。 それに一人暮らしは大変よ。」

 とあっさり返された。でも俺はどうしても諦めきれなかった。俺の実家だと恥ずかしくて、彼女や友達も気軽に呼べないからだ。

 なので俺は毎日何べんも何べんしつこく親に頼むことにすることにした。


 するとある日、

「分かったわよ、あんたの一人暮らしを認めてあげるわ。」

 と、とうとう親も折れてくれた。


「お母さんありがとう。」

 俺は親に感謝した。


「でも東京は家賃が高いわよ?あんたどうすんの?バイト代で払えるの?」

 そう、そこが問題なのだ。東京は家賃が馬鹿みたいに高いのだ。


「お母さん、どこか家賃の安いところ知らない?」

「東京で家賃が安い所なんてそうそうないわよ。うーん、でもあそこの家なら…」

 と何か引っかかるようなことを親は言った。


「家賃が安いなら俺はどこでも住むよ!だからそこを教えて!」

「分かった。今度その物件を所有してる人に相談してみるわ。」

 と親にOKをもらった。俺は、こうして東京なのに8000円の家賃で部屋を借りることが出来た。

 実家からは2キロ程しか離れておらず、けっこう近い場所にあった。


「それじゃ、お父さんお母さん元気で。」

 と別れの挨拶をした。すると親は、まだ言ってなかったことがあったため何か話し始めた。


「あ、1つ言い忘れてたんだが、この家賃の安さは絶対にいわく付き物件だと思うから、もし何かあったらすぐに連絡しろよ。」

 と親に言われた。いったいあの家には何があるというのだろうか。でも俺は、やっと一人暮らしが出来る高揚感の方が勝っていたため、そんなことはどうでも良かった。


「ふぅー!一人暮らし最高!早速友達呼んじゃおっと!」

 俺は新しい家に着いて、すぐに友達を呼ぶことにした。


30分後…

「お邪魔します。」

「いらっしゃい!さあさあさあ!ゆっくりとしていってね!」

 呼んだらすぐに友達はやってきた。だが、やってきてそうそう友達はソワソワし出した。


「そんなにソワソワしてどうしたん?」

「お前よくこんなところに住めるな。俺もう帰るわ」

 といきなり言われ、友達は逃げるように帰っていった。家の中に5分も滞在せずに友達は帰った。

 なんだよあいつ、感じ悪いな。と俺は思った。俺はそのあと、この家で1週間生活したが、とくにこれと言って変わったことは起きなかった。

 その後、思い出すだけでも友達の態度がムカムカしてしょうがなかったので学校で友達に問い詰めることにした。

「何であの時、すぐに家に帰ったんだよ!お前感じ悪いぞ!」

「俺、あの家で見ちゃったんだよ。悪いことは言わないからすぐに引っ越した方が良い。」

「は? 意味分かんねぇよ」

 結局、それでも俺はあの家に住み続けた。そして、その後に違う友達や彼女をあの家に入れたのだが、家に入れてから関係が疎遠になってしまった。


「どうしてこうなるんだよ…!」

 俺はあの家に住むようになってから、俺の元からみんな離れていってしまった。このままじゃまずいと思い、思い切って実家に戻ることを決めた。

 すると離れていた友達は俺の元に戻ってきてくれた。


「お前大丈夫だったか?あの家に住んでて心配したんだぜ?」

「なんでみんな俺から離れたんだよ。理由教えてくれないと怒っちゃうぞ!」

 ふざけた感じで言った。本当は内心はムカムカしていて頭に血が上るほど怒っていた。


「今だから話すけどさ、あの家に入った途端に息が苦しくなったんだよね。最初は何で苦しかったのかは分からなかったけど」

「それでも俺から黙って離れていくなんて酷くないか?」

「だってさぁ、あの家に住んでからお前の背中に何かいたんだもん」「え?」

 俺は友達が何を言ってるのか分からなかった。


「さすがにお前に近づくことができなかったよ。多分だけど、あの家に入って息が苦しくなったのって、アイツが俺の首を絞めてたから何だよね。」

「それ、本当なのか…」

 俺はゾッとした。あの家に住んでからずっと俺の背中に誰かが引っ付いてたというのだ。


「あとお前本当に生きてて良かったよ。あの背中にくっついてるやつ、いつもお前の首を絞めようと必死に手を伸ばしてたぞ。お前本当に運が良いな」「そ、そうだな…」

 俺は怖くなってすぐにお祓いに行った。幸い今は背中からそいつは居なくなっているらしいとのこと。

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