[ホラー] 恐怖のサイクリング
自分は最近、夜にサイクリングを始めた。夜の街は全然人が出歩いていないのでサイクリングをするにはもってこいなのだ。
夜にサイクリングをしていると世界にたった1人だけ取り残されたような不思議な感覚になる。
それにしても、今日の風がものすごく気持ちいい。視界も良好だ。夜のサイクリングは日常の嫌なこと全てを忘れさせてくれる。
今日のサイクリングでトラウマを植え付けられることになろうとは、この時の自分はまだ知る由もなかったのだ…。
いつも通りに街のサイクリングしていた時だった。なぜだか、誰かの視線をどこかから感じるのだ。
「なんか気持ち悪いなぁ…」
と思って、自転車を漕ぐスピードを速めた。辺りを見渡しても誰もいない様子なのになんでこんなに視線を感じるのだろうか。
すると自分は後ろの方が、ものすごく気になって仕方がなかった。自分は振り向くかどうか迷った。迷った末に自分は後ろを振り向くことを決めた。そしてゆっくりと首を回して後ろを確認した。
すると、遠くからこちらに向かって誰かがやってくるようだ。
「なんだろうなぁ…」
と思ってずっと見てみると、ものすごい速さで笑いながら子供がこちらに向かってきていたのだった。
「アイツは絶対にやばい…!」
と思って自分は自転車を漕ぐスピードを更に速めた。そして後ろを振り向くとやっぱり笑った子供がものすごい速さでこちらに向かってきている。
ひたすら漕いで逃げていると前方に下り坂が運良くあったので、その下り坂をものすごい速さで下った。後ろを振り向かずにひたすら下った。
とにかく足がつるぐらいひたすらペダルをぶん回した。下り坂がとうとう終わった。
そして自分はもう一度こかで後ろを振り向く。少しは距離を離すことが出来たが、まだ子供がギリギリ見えた。
少し漕いだ先に住宅街に入る道があったので、自分は住宅街に入ることにした。
住宅街のたくさんの角を曲がって、笑って追っかけてくる子供から逃げ切る作戦を思いついた。
自分は、ちょくちょく後ろを気にしながら住宅街の角を何回も曲がった。今のところは近くに来ている様子はなさそうだった。
まだ安心はできなかったのでペダルを漕ぐスピードは緩めなかった。逃げている途中に公園に差し掛かったので 、自分は公園の公衆トイレの中に自転車ごと持って行ってくれることにした。
自転車も一緒に無理矢理個室のトイレへと入った。
「とりあえずやっとこれで一息つけそうだぞ。」
と思ってトイレの個室に隠れていると、外から誰かがやってくる足音が聞こえてくる。自分は息をひそめてじっと耐える。個室のトイレの外ではずっと誰かの気配を感じる。
まさかさっきの子供が自分の所まで追いついてきたのだろうか… ? そんなことを考えると怖くて怖くてしょうがなかった。
時間が少し経つとトイレの個室の外から、誰かの気配が消えたようだった。
自分は一安心したが、外に出るのはまだ怖かったので夜が明けるまで待つことにした。
自分はほっとしたのかトイレの中でぐっすりと眠ってしまった。そして朝がやってきた。
自分にとって希望の朝だった。やっと恐怖の夜が終わったのだから。ものすごく晴れやかな気持ちだった。
自分は個室のドアを開けて帰ることにした。個室のドアの前に手を洗う場所があった。
自分は顔を洗ってから帰ろうと思って顔を洗った。そして鏡を見た。すると、自分が出てきた個室のトイレの方に誰かがいた。
そしてそいつと鏡越しに目があった。
「ヒャヒャヒャ…!」
とそう笑った。そいつは昨日ものすごい速さで追いかけてきた子供だった。
自分は一晩も気付かないまま同じトイレの中に笑う不気味な子供と入っていたのだ。
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