余命1日の花嫁②
美少女はずっと眠ったままだ。とりあえず自分は美少女の顔をずっと見つめることにした。
うわー髪がサラサラで綺麗、それにまつげがものすごく長くてくるんとしている。スッと鼻も通っていて 顔は整っている。まさに美少女だ
「君、18歳だったんだね。こんな若いのに寿命があとちょっとしかないなんて可哀想だ」
「………。」
「でも本当にどうして君は僕のことを好きになったんだろう? 僕っていつも公園でなんとなくのんびりしているだけだよ」
「………。」
「できることなら君に寿命を分けてあげたいくらいだよ。君の未来は明るいかもしれないけど僕の未来は暗いんだから」
「………。」
「君みたいなのが本来はもっと生きるべきなんだよね」
そんなことを眠っている美少女に向かって話しかけていた。そして刻一刻と美少女の寿命は尽きようとしている。
ただ自分だけが一方に話しているだけだが、この美少女が好きだという気持ちが時間が経つにつれて増えていった。
「もうすぐ君とはお別れだね。僕も君と別れるなんて寂しいよ。まだ知り合ったばかりかもしれないけど、最後にお別れのキスでもしようか」
もうあと残された余命は30分だった。自分は美少女にキスをした。その瞬間に美少女は目を覚ました。
「たけるさん…。」
「え? 起きた!?」
ちなみにたけるというのは自分の名前だ。
「突然だけど、僕と君は今日結婚したんだよ」
「すべて知ってます…。私ずっと聞いてましたから…」
「じゃあ僕の話していたことも全て聞こえたの?」
「はい…」
超恥ずかしかった。
「さっきたけるさんは私に寿命を分けてあげたいみたいなことを言っていましたね…」
「ああ、そんなこと言ってたね」
「そんなの私が許しません…。たけるさんは自分は生きていてもしょうがない人間だと言っていましたが…。そんなことはありません…。ゴホッ…。ゴホッ」
「大丈夫!?」
美少女の背中を擦る。
「大丈夫です…。それよりも、私はたけるさんに生きていて欲しいのです…」
「どうして?」
「私はたけるさんを愛しているからです…。だから、自分は生きていてもしょうがないなんてそんな悲しいこと言わないでください…」
美少女はそう言った。
「そういえば君の名前聞いてなかったね。名前なんていうの?」
「あいりです…」
「そうか、あいりちゃんか」
なんて可愛らしい名前なんだろうと思った 。
「たけるさん、お願いします…。もう一度、私にキスをしてください…」
「わ、分かったよ。キ、キスをしよう!」
「死ぬまで…。私のこと愛し続けてください…。お願いします…」
自分は一瞬黙り込んだ。だが、すぐに口を開いた。
「分かったよ、君を一生愛すよ。君のことを死ぬまでに愛するって約束する」
「私の寿命のことは知っています…。もう残り少ないんですよね…」
「全て聞こえてたんだね」
「お願いです…。12時になるまでずっとキスをし続けていてください…」
「分かったよ。だからもうこれ以上は無理しないで…」
それ以上は何も言わなかった。そして長い間ずっと、12時になるまでキスをした。そして12時になる。
「あいりちゃん、うわあああああ!!!!」
自分は彼女に抱きついて泣いてしまった。ガクッと力が抜けたのが分かった。
~つづく~
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