捕まったら1000万円取られる鬼ごっこをした②

「これでひとまずは安全だ!」


 すると2人の保育園児が追ってきてあとは休んでいた。


「おっ! 諦めたようだな。所詮は子供だ!」

「まてー!」


 全速力で逃げる。すると追いかけてきた2人も諦めた。


「これならチョロいな」

「まてー!」

「なにー!?」


 なんと、ローテーションで2人ずつ追いかけていくという作戦だったらしいのだ。体力が切れたらその2人はまず休んで、また別の2人が追いかけてくる。

 そして自分がじわじわと体力がなくなって、一斉に捕まえるというチャンスを待っているらしい。


「これは本格的にヤバくなってきた! どうすんだよこれ!」


 1人に100万円といったら1千万円だぞ…!? 洒落になんねぇぞ…!?


「みんな! 100万円はもうすぐだぞ! お兄さんはもうすでにヘロヘロの状態だ!」

「はぁはぁ…」


 自分はもうガス欠寸前になっていた。このままだと時間の問題で本当に捕まってしまうかもしれない。


「あっそうだ!」


 自分はここである方法を思いついた。大人気ないと思ったが、相手が本気だったらこっちも本気を出すしかないと思った。


「おりゃー!」

「なんだって!?」

「そんなの反則だよ!」


 自分は子供じゃ到底登れないような木の上に逃げたのだ。これでなんとかピンチを脱した。

 だがここである問題が浮上する。


「しまったー!」


 木から降りられないのだ。なぜなら木は子供たちに囲まれてしまったからだ。


「おやおや、こっちが有利みたいだね」

「だね」

「クッソォ…! ガキ共がぁぁぁぁぁ!」


 こうなったら持久戦だ。大人の本気をなめるなよ!


「お兄さんは地上に降りないといけないから降りてきた瞬間に捕まえるんだ!」

「おー!」

「嘘だろ? 嘘なんだよな?」

「本気だよ! 交代でずっと見張ってるからね!」


 くそ、捕まったら本気でやばいな。なおさら持久戦に持ち込むしかない。とにかく今はひたすら体力を休めて機を待つんだ。

 体力さえ回復すれば、短距離ではこちらが圧倒的に速い!


「ま、お前ら頑張れよ!」

「そんなに余裕なフリをしているけど、本当に大丈夫かなー?」

「ねぇ、今どんな気持ち?」

「クソガキ共がぁぁぁ!」

「ギャハハハ!」


 けっ、勝手に笑ってやがれ。そこんところも所詮は子供だな。最後に勝つのは俺だ。

 みんなで木の周りを囲んで1時間が経過したくらいからだろうか。みんな飽きてどこかへと去ってしまった。

 なかにはまだ集中力が続いている者もいるが、少数だ。


「ちょっとみんな、どこ行くの!?」

「もう飽きた、どうせお兄さんまだまだ降りてこないでしょ?」

「100万円欲しくないの!?」

「欲しいけど、つまらないから見張っといてよ」


 自分はこのチャンスを見逃さなかった。集中力が切れないやつが、切れる瞬間は今この会話をしている瞬間だ。


「おりゃああああああ!」

「なに!?」


 自分は保育園児達が追いつけないと踏んで思いっきり木から飛び降りた。

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