村の掟 「戸締りは絶対に忘れるな」①

「ちゃんと戸締まりはしたか?」

「うん、ちゃんとしたよ!」

「いいか、絶対に戸締りだけは忘れるなよ! もし戸締りをし忘れたら大変なことが起こるからな!」

「だから本当に戸締りをしたって言ってるじゃん!」

「そうか、分かった。信じるよ」


 実は自分は嘘をついていた。ちょっと自分は親に反抗したいお年頃だったので戸締りをせずにそのままにしておいたのだった。

 しかし、戸締りをしなかったことにより、その後自分はとても後悔することになるのだった。

 自分が住んでいる村では夜の戸締まりだけは絶対に忘れるなという教えがある。夜の時間になると奴らが来ると言われているからだ。

 そのやつらというのが何なのか自分は分からなかった。そもそも見たことがないからだ。

 昔から親に「やつらって誰なの?」って聞いても「お前は知る必要がない」とそれだけしか言われなかった。

 いったい奴らとは何なのか気になって仕方がなかった。とりあえず自分は親に子供扱いをされて教えてくれないと感じて、どうしようもなくムカついていた。

 今は大人でもない子供ではない微妙な中間な年齢なのだ。だから大人の仲間入りをしたいと常日頃思っていて、大人ぶったりしていた。

 とにかく何か仲間はずれにされている感じが嫌だった。だから親たちが自分の知らないことを話しているのがどうしてもムカついてしょうがなかった。

 なのでそこで反抗してやろうと思い今日は戸締りをしなかった。そして親達も寝て、奴らが現れるという夜になった。


「あーあ、暇だな~」


 今日はやつらを見るために夜更かしをしていた。だがしかし今のところ何も変わった様子はない。


「何だー、何もないじゃん。やっぱり嘘だったのかもな。そういえば今日は窓の外にあるシャッターすんの忘れたな。ちゃんと自分の部屋だけでも戸締まりしとこうかな」


 自分はカーテンを開けた。すると、そこには黒い影のような人間がニターっと笑って、窓の外から自分を覗き込んでいた。

 ちょっと待ってよ。ここ2階だぞ…。


「ケケケケケ…!」


 次の瞬間そいつは素早く下の方へと消えていった。


「まさか!?」

 間違いなくあいつは玄関から入ってやってくると思った。なぜなら玄関の鍵を閉めていないからだ。

 そして、おそらくあいつは目が合った自分を探しにこの部屋へ必ずやってくると思った。


「やばいやばいやばいやばい…」


 自分はとにかく助かりたいあまりにどうするかを必死に考えた。そして自分が導き出した答えは屋根裏に逃げるという方法だった。

 自分はすぐに屋根裏へと逃げた。


「やばいやばいやばいやばい…」


 自分はガクガク震えながら屋根裏で一晩過ごすことになった。屋根裏にいる間は下からガタガタと何か音が聞こえて騒がしかった。

 果たして家族はみんな無事なのだろうか? でも今見に行ったら確実に自分は奴らに遭遇してしまう。

 だから自分は今日はこの屋根裏で夜を明かすしかないのだ。自分はいつしか眠くなってしまい、そのままゆっくりと寝落ちしてしまうのだった 。

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