汚いお人形さん②(終)
「お前はどうしてこんなに汚れてしまったんだい? もしかしてあいつらにやられたのか? だったらあいつらにもお前がされたような同じ目に合わせてやらないとダメだよな。僕はやっちゃうからね」
私はそーっとおじさんの部屋を覗いたのだった。おじさんが汚れた人形にぶつぶつと話しかけている。
その光景を見て私はゾッとした。どう考えても普通じゃないのだ。それにおじさんの部屋には人形がずらーっと並んでいた。
怖くなったのでおじさんに聞くのはやめることにした。自分でトイレを探すことにした。そしてトイレが済んだらその後すぐに帰ろうと思う。
「ギギギ…」
「ん? まさか、今誰か覗いていたのか!?」
おじさんは急いで扉を開けて部屋から出るが既に少女の姿はなかった。
「はぁ…。やっとトイレ見つけた!」
トイレに素早く入って用を足してきた。
「あーすっきりした。さて、私も早くおやつ食べなくちゃね」
だが、この時におじさんのさっき言っていた言葉を思い出していた。
「いやいや、これでまた新しい私のコレクションが増えそうだよ」
「お前はどうしてこんなに汚れてしまったんだい? もしかしてあいつらにやられたのか? だったらあいつらにもお前がされたような同じ目に合わせてやらないとダメだよな。僕はやっちゃうからね」
その瞬間に早くこの家から出なきゃと思った。でもこのまま友達を置いていくことも出来ないのでリビングに戻ることにした。
「みんな! 早く帰ろう!」
「………」
友達達の姿はリビングから消えていた。みんなどこに行ったのだろうか?
「もしかしてもう帰っちゃったのかな?」
とりあえずおじさんの広い家の中を見て回ることにした。もしかしたら友達がどっかに隠れているかもしれないと思った。
「みんなどこ行ったんだろう? いるなら出てきてよ」
「やぁ!」
後ろから誰かが話しかけてきた。私はゆっくりと振り向く。
「はぁはぁ…」
「どうしたんだい? そんなに震えて。そこまで怖がることはないじゃないか」
そこにはおじさんがいた。私はブルブルと震えていた。おじさんの手には3体の人形が握られていた。
さっき友達が公園で投げて遊んでいた人形と新しい2体の人形だった。
「おやおやとっても気分が悪そうだねぇ。おじさんが診てあげるよ」
「はぁはぁ…」
私は分かってしまった。今この瞬間に点と点が線で結ばれた。消えた友達2人の行方とおじさんが手に持ってる新しい人形2体が重なった。
私はとんでもないことを考えている。あの人形は友達かもしれないということだ。
「わ、私はもう帰ります! これから習い事があるので…」
「おや残念だ。気をつけて帰ってね。十分に気をつけてね」
「はぁはぁ…」
私は早歩きでキシキシと軋む廊下を歩く。
「あ、そうだ。君、さっき僕の部屋を見たよね」
「え…?」
後ろから話しかけられる。
「だったら、君もすぐそこのコレクションの仲間入りをさせてあげないとね」
「はぁはぁ…」
「ちなみに君のお友達はもうみんなそこのコレクションに加わったからね」
完全に推測通りだった。友達は人形に変えられてしまった。
「いやあああああ!!!!!」
自分はすぐに走って逃げる。そしておじさんは追いかけてくる。
「はぁはぁ…!」
「無駄だよ。わざわざこの家に招いたんだ。そう簡単に逃がすわけがないだろう」
それからどのくらいの時間が経っただろうか? 私は今、おじさんの屋敷で見つからないように逃げ回っている。
とある一室に隠れてガタガタと震えているのだった。
この後、どうなったのかはおじさんと少女にしか分からないのであった。
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