世界は移り変わっていく②
自分は人があまりいないはずの超田舎に今いる。実家に帰るために来たが、実家が更地になっていた。
このまま帰るのもあれなので実家があった場所の近くを散策する。散策していると驚くべきことがあったのだ。
「ははは!」
子供達がボールを使って遊んでいた。なぜこんな田舎に子どもがいるのだろうか? そして実家だった近くに見たことない施設があった。
どうやらここに多くの子供が預けられていて保育園的なものになっているようだ。「何事と?」なってしまった。
もしかして捨てられた子供が預けられていてそこで暮らしているんじゃないだろうか?と思った。
正直、この田舎はめったに若い子供なんていないのだ。それにも関わらず小さい子供がたくさんいるのはどう考えたっておかしいのだ。
「ははは!」
けれど、子供達はみんなとても楽しそうに遊んでいる。それを見て良いなと思ったのだった。
「やあ、こんにちは」
「こんにちは」
そして施設の責任者と思しき人が接近してきた。自分は施設の責任者と思しき人に子供がたくさんいる理由を聞いてみた。
「すいません、ここは田舎なのになぜこんなに子供が?」
「それはですね、この子達はみんな親に捨てられた子供なんですよ」
やはりここに預けられている子供はほとんど捨てられた子供だということだった。こんなにも親に捨てられた子供がいるなんてびっくりした。
子供が親と一緒に住めないなんて、そんなこと辛すぎるはずだ。それに小さい子供なら尚更そう感じるんじゃないかと思う。
でも子供はみんな楽しそうにボール遊びをしたり鬼ごっこをしたりしていた。なんて言うかそんな子どもの姿を見ていると自分の胸がキュッとなって苦しくなるのだ。
親はそんな簡単に子供を捨てられるものなのだろうか?命の責任を持つということをなんなのか分かっていないのかもしれない。
それだったら最初から子供を作らない方が良いのではないかとそんな風にも思う。
でもその施設の責任者はこんなことを言っていた。
「親だって結局は最も自分に近しい赤の他人に過ぎないんですよ。どう生きるかというのは全て自分自身で最後は決めなければなりません。それは親に育てられた子供も一緒なのです。ただね、子供たちはここにいる間だけは何があっても育ててみせますよ」
「はぁ…」
「大人になってからもあそこに育てられて良かったなと思えるような思い出を作ってもらいたいと思っていますね」
そんなことを考えているらしい。なるほどそういう考え方もあるのかと感心してしまったのだった。
久しぶりに実家に帰ってきて、色んなところが変わってしまったけれども、変わってよかった部分もあるのかなと少しは思ったのだった。
自分も親の元で育ったけれど、決して良いとは言えない子供時代だった。その結果親とは疎遠となって 久しぶりに実家に帰ろうと思ったら更地だったのだ。
けれど、自分には親代わりのおじいちゃんとおばあちゃんがいたから十分に良かった。
この施設で育った子供達が大人になっても、この施設が残ってればいいなとそんな風に思ったのだった。
そして子供たちにとって、この施設が故郷みたいな感じだったらいいなと思った。
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