世界は移り変わっていく①
久しぶりに実家に帰ってみようと思ったので夜行バスを予約して夜行バスに乗って実家に帰ることにした。
そして実家のある街に帰った時のことだった。
「え?」
生まれた町に何か違和感を感じた。なんか街並みが変なのだ。子供の頃と街並みが変わっているのだった。
ずっと実家に帰っていないものだったから、街並みも多少は変わるのかもしれない。
だが、明らかに全く自分の知っている街ではなくなっているのであった。街の看板などがすべてあんまり見たことのない言語が書かれていたのだった。
これを見て何故だか自分は泣きそうになってしまった。いったい自分のいない間に何があったのだろうか?
「もしかして侵略されてしまったのではなかろうか?」とかそんなことを考えていた。果たして実家は大丈夫なのだろうか?
自分の慣れ親しんだ言語は何一つ書かれていなかった。街の中に日本語はひとつも書いていなかったのだ。
そして当たり前だが、街の中はシャッターだらけだった。どこもあんまり繁盛していない、そんな感じだった。
もう自分の知る街は遠い昔となった。時の流れというのは残酷なのだ。そしてあまり聞き慣れない言語ばかりが聞こえてくる。
いったいどこの人なのだろうか? もしかして宇宙人とかそういう類なのかもしれない。
自分の慣れ親しんでいた街は全く別な姿に変わってしまっていた。そこにいた人達もすり替わっている。
自分にはもう帰る場所すらないのかと思うと涙が止まらなかった。それでもこの現実は受け止めなければならない。
人はたとえ帰る場所がなくなってしまったとしても、生きていかなければならないのだから。
早速、自分は実家の方に顔を出しに行こうと思って足早に実家の方に走っていった。
懐かしい気持ちを覚えながら記憶を頼りに自分の実家へと歩いていく。そして自分の実家があったと思わしき場所を発見した。
そこには建物は何が建っていなくて更地になっていたのだった。自分は頭を抱えた。
本当にここ数十年で取り返しのつかないものを失ってしまったんだなということを改めて実感させられた。
こんなことになるんだったらもっとちゃんと頻繁に実家と連絡を取り合うべきだったと後悔をしていた。
親とはあまり仲良くなかったために連絡を取っていなかった。でも後悔をしたってもう何も帰っては来ないのだ。
親だってどこに行ったか分からないし、もしかしたら生きていないのかもしれない。
自分は実家をあとにした。そしてすっかりと姿形を変えてしまったふるさとを眺めて回る。
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