放置国家

 法治国家の国があった。その国はすべてを放置しているのだ。なので社会のルールなんてものは一切無い。

 あるのは国という名の見せかけの枠組みだけだった。


「ヒャッハー!」

「キャー!」

 この国にはモヒカンの野盗もたくさんいる。人間というのはルールに守られて初めて人間でいられるのだ。

ルールがなければもはや人間もそこら辺の野生動物と同じなのである。そんな無秩序でルールのない国ではみんな野生の獣のような考え方をしている。

 そして野生動物と同じような生活をしていることが普通である。食べたい時に食べ、寝たい時に寝る。

 すべてが自給自足だ。ある意味でこの法治国家は世界で最も自由な国なのかもしれない。

 何をやっても自由なのだ。まさに自分自身が法律みたいなものだ。だから他人の命を奪うことも当然認められている。

 なにせルールがないからだ。 ここに住む人間は毎日、自分勝手に好きなように生きている。


「死ねい!」

「うわあ!」

 殺しなんていうのは毎日行われている。もはや趣味として殺しを楽しんでいる者が現れる始末だ。

 しかし、そんな危険な人間を取り締まるものは誰もいない。ルールがないというのはこういうことなのだ。

 何をしようが自由だから罪に問われるということは決してない。この国では弱肉強食が当たり前で最も強い人間こそルールである。

 他の弱者は全員強者に狩られるだけの存在なのだ。この放置国家ではパワーを持つ人間こそ最も自由な人間であり、ヒエラルキーの頂点という訳だ。

 この放置国家の弱肉強食の世界で生き残りたければ、全て力でねじ伏せるしかないのだ。

 力こそ全てだ。生きたければとにかく力をつけて生き残っていくしかない。それが一番最善の方法なのだから。


 この法治国家では一番力のあるやつが国のトップとして君臨している。一番力のあるやつが国をおさめることが出来る。

 そしてこの国では下剋上も可能だ。一番力のあるやつがトップに君臨出来るのだから、これは力さえあれば誰でも国を取れるチャンスでもあるということなのだ。

 国さえ取れればその国は頂点に立った人間の全て思うがままで自由ということだ。我こそは最強という人はぜひ放置国家へ行ってみるといい。

 そして多くの強者の人間が放置国家へと次々に向かっているという情報が入っている。

 頂点に立つ者の人間性によっては他国に戦争を仕掛ける可能性もある。国を自由に動かせるということはそういうことなのだ。

 いずれはこの放置国家を足がかりとして、世界を侵略する事だって可能なのである。

 強大な力を持つというのはそういうことなのだ 。範〇勇次郎のような人間にはオススメの国だ。

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