隣の席の不思議な子
「ぼー」
「またやってるんだね」
クラスメイトにいつもぼーっとしていて何を考えているのかわからない女の子がいた。
その女の子の名前はしずかさんと言う。しずかさんというのは滅多に喋ることもなく、いつもぼーっとしているようなのだ
そして授業中はほとんど眠っている。でもこのしずかさん、すごい隠れた才能を持っているのだ。
それは授業中の時だった。
「じゃあこの問題を…。しずかさん、解いて!」
「え? はい」
先生に急に当てられてもパッと答えを導き出すことができる。実はしずかさんは喋らないと他の人には思われているけど、めちゃくちゃ喋るのだ。
一日目
「昨日の宇宙遊泳は楽しかったなぁ…」
「そうなんだね…」
二日目
「昨日は南極にちょっくら行ってペンギンと戯れて来たよ!」
「へ、へぇ…」
三日目
「とある星を救ってきました!」
「お、おう…」
いつも訳の分からないことばかり言うのだ。しずかさんは本当に謎の多い人で分からないのだ。
「ところで何ですぐに先生に当てられて答えを出せるの?」
「それはね、夢の中で解いてるからだよ」
「はえ?」
しずかさんには何か人智を超えたものがあるのかもしれない。彼女はいつも授業中は寝ているのに成績はトップクラスだ。
どう考えたっておかしい。
「夢の中は私のフィールドワークなの。夢の中では私は無敵なのだ! ブイブイ!」
「な、なるほど…」
彼女はみんなから得体の知れない存在と思われているがめちゃくちゃなくらい超優秀な天才なのだ。
それは何もかも夢の中で能力を培っているらしい。彼女は現在の科学ではまだ解き明かせないものすら理解している。
彼女曰く、UFOも幽霊もいるというらしい。消してオカルトなんかじゃないと言う。
そして人間には隠された能力もあるとかなんとか言っていた。さすがに自分も冗談なんだろうなぁと思った。
「本当に飛んでやがる!?」
「ね、本当だったでしょ?」
彼女は見事自分の目の前で空を飛んで見せた。
「これは見つかったら大変なのでみんなには内緒だよ!」
「う、うん」
これは夢なのかと思った。これがもし夢ならこの世界はいったいなんなのだろうか?
この世界が夢みたいなものなのだろうか? とにかく自分が言いたいことは、彼女を見ていると常識なんてものはあまり意味がないということだ。
「ぼー」
「またそのモードなのね」
彼女がぼーっとしている状態はだいたい寝ていることが多い。目は開いているが意識だけは夢に飛んでいるのだ。
夢の中では全て彼女の思い通りだ。答えが分からないなら勝手に夢の方からヒントや答えを教えてくれるらしいのだ。
そして夢の中で着々と力をつけて現実の世界でも力を発揮していると言う。彼女には時間の概念すらも飛び越えていた。
夢の中には時間というものがほとんどないらしい。現実世界では1秒や2秒でも夢の中だと200年なんていうこともあるという。
でもこれは彼女の絶え間ない努力が生んだ結晶だ。普通の人には出来ない芸当だという。
彼女はもはや神様と言っても過言ではない。宇宙の始まりすらも知っていると言っていた。
もうつまり何が言いたいかと言うと彼女は普通の人間ではないということだ。
「本当はみんなも私みたいなことが出来るはずなんだけどね」
「どうして他の人は出来ないの?」
「みんな夢の中の経験や記憶がないから忘れてしまっているだけ。私はすべての経験と記憶を蓄積してるからね」
「ええ…」
彼女には誰も不気味がって近づかない。正直こんなに面白い人はそうそういないのにみんなもったいないなー。
「おい」
「な、なに?」
クラスメートの一人が自分に話かけてきた。
「お前さっきから誰と喋ってんだ?」
「え?」
ちなみにしずかさんとの今までの会話はすべてテレパシーだ。他人からは自分が独り言を喋っているかのように思われている。
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