今日から私がお父さんになります
「今日から私がお父さんになります」
急に知らないおっさんが家にやってきて、お父さんになります宣言をしたのだった。
「いやあんた誰だよ」
「私はお父さんだ」
「いや違うでしょ。どっからどう見ても不審者だ」
「これからは私が大黒柱なのだから、どんどんお父さんを頼るんだよ!」
すると、少女は素早く携帯を取り出した。
「もしもし警察の方ですか? 今知らない不審者が家の中に」
「ちょっと待って! 私は本当にお父さんなんだよ!
「どういうことですか?」
「実はね、君のお母さんと結婚することになったんだよ! ということで君は今日から私のお父さんなんだね!」
「私はお母さんなんていませんけど?」
「ど、どういうこと!?」
「だって私は私から生まれてきたんですから」
そうなのだ。この女の子、実はお父さんもお母さんもいないのだ。と言うか、どこから生まれてきたのかもわからない謎の存在なのである。
「いいや、でも今日から君は私の娘だ! 何が何でも絶対に君は私の娘なんだ!」
「ええ、どうして」
「君も一人だとなにかと不便だろう? だから私が面倒見るって事になったんだよ!」
「なるほどそうだったんですね、ではよろしくお願いしますね。お父さん」
「お父さん、何と良い響きなんだ! そうだとも、私がお父さんだ!」
こうして父と娘の生活が始まるのであったとさ。
一日目
「お父さん、喉乾いたからコーラ買ってきて」
「あいよ」
二日目
「お父さん、お腹すいたからポテトチップス買ってきて」
「あいよ」
三日目
「お父さん、ちょっと週刊少年ジャ〇プ買ってきて」
「あのなー」
四日目
「お父さん、グミ食べたいから買ってきて」
「いい加減にしろ!」
「え? どうしてお父さんそんなに怒るの?」
「娘、自分の欲しいものは自分で買いなさい!」
「でもお父さん、いつでも私に頼れって言ってたじゃん」
「つべこべ言わず自分が欲しいものぐらい自分で買いなさい!」
「はーい」
めんどくさそうに返答する娘だった。そういうと娘は外へグミを買いに行った。
「全く手のかかる娘だな、あいつは。ポテトチップスとコーラばっかりで全くダメダメじゃないか。私がちゃんと栄養のあるものを作って食べさせてやらないとなぁ」
その日の夜
「おーい、娘! ご飯ができてるぞ!」
「分かった、今行くね」
娘は走ってリビングにやってくる。
「今日はピーマンの肉詰めとあのいろんなやつだぞ」
「うげぇ…」
「どうした娘よ」
「私、ピーマンダメなんだよね…」
「文句言わずに食べなさい。ピーマンの肉詰めだったら絶対美味しいから」
「でもぉ…」
「ちゃんと栄養とっておかないと困るのは自分自身なんだぞ。栄養ちゃんと取らないで体を壊したりしたら大変だろう」
「はーい」
また面倒くさそうに返答した。それから娘は渋々ピーマンの肉詰めを食べ始めた。
最初はピーマンの肉詰めを微妙そうな顔で食べていた。
一口と二口と食べると、びっくりした顔をする。
「どうした?」
「ピーマンの肉詰め、美味しい!」
そして娘はピーマンの肉詰めをどんどん食べていく。
「ピーマンの肉詰め梅止まらねえ!」
「おいおい娘、もっとゆっくり食べなさい」
父親はニコニコしながら娘が食べているところを見守るのであった。
娘よ、立派に大きくなるんだぞ。
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