冬に鳴くセミ

「ミンミンミンミンミンミン!」

 みんなはセミが夏に鳴く生き物だと思っていたいなんだろうか? 実は冬にも鳴くセミというのがこの世の中には存在しているのだ。

 ご存知の通り、夏の蝉の鳴き声は暑苦しいような感じがする。しかし、冬に鳴くセミというのはまさに冬にふさわしい鳴き声なのだ。

 その鳴き声は何て言うか、聞く者の気持ちまでもが落ち着いてくるようなそんな感じなのだ。

 夏の夕方に鳴いているヒグラシよりも、もっと鮮明で透き通ったような鳴き声をしている。

 それが冬に鳴くセミなのだ。


 ただ、最近は 滅多に聞くことはなくなっている。この冬に鳴くセミというのは田舎じゃないとなかなかいない。

 そもそも、冬に鳴いているセミというのは希少性が高くて乱獲されてしまったのだ。それが原因でほとんどいなくなってしまったらしいのだ。

 今ではもう人が誰も住んでいないような田舎でしか鳴いていないと言う。それに冬に鳴くセミはかなり寿命が短くてものすごい儚い存在なのだ。

だからこそ、冬に鳴くセミの声はなおさら美しく聞こえるのかもしれい。一生というのは本当に一瞬なんだなぁということを感じさせてくれる。

 儚いからこそ命というのは美しく輝いているのだろう。命が短いからこそ一瞬一瞬を一生懸命生きようと輝いている。

 冬に鳴くセミは一分一秒も無駄にしてやるものかと、その輝かしい声を聞かせてくれる。冬に鳴くセミは聞いた瞬間に気分が落ち着いていく。

 その美しい鳴き声は楽器よりも美しい旋律を奏でている。たしかに冬に鳴くセミは最近は滅多に鳴き声を聞けなくなった。

 しかし、冬に鳴くセミの鳴き声は運が良ければいつか聞くことが出来るかもしれない。


 ある人はこう言った。

「この世にこれ以上に美しい音を聞いたことがない」と。冬に鳴くセミの鳴き声を聞いた人間は幸運が訪れるとも言われている。

 まさに人生が一変してしまうかのようなそんな鳴き声なのである。ただ冬に鳴くセミはいくらお金を積んだところでなかなか見つけることはできない。

 それほどに冬に鳴くセミは運が良くないと聞けない。たまたまセミが鳴いてるところに出くわさなくてはならない。

 冬に泣いているセミが鳴いているのは、だいたい夜の山や森の中だ。だからなおさら見つけるのが難しい。

 それでも世界の金持ちたちは冬のセミの鳴き声を聞きたくて、こぞって大金を出して冬のセミを探している。

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