知らないおっさんが布団で寝てた

「疲れたからそろそろ寝ようかな」

「ぐがあああ! ぐがあああ!」

「うわっ!」


 布団に入ったら知らないおじさんがヨダレを垂らしながら寝ていた。しかも布団がヨダレまみれになっていた。それにびちゃびちゃしてる。

 そして何よりも変な臭いがしている。


「オエッ!」


 吐きそうになってしまった。とりあえず布団の中に知らないおじさんが寝ていたのでスレッドを立てることにした。


「わいの布団に知らないおっさんが寝ていて咽び泣く」というスレッドを立ち上げた。


 このおっさんはどうすればいいかと聞いてみたところ、なんかどれもパッとしないことばかり言われた。


「このまま自分じゃ自分は寝れないしどうしようかな。明日も仕事で大変なのに」

「ぐがあああ! ぐがあああ!」


 そして相変わらずおっさんは今もヨダレを垂らしながらいびきを立てて寝ている。本当におっさんを見てるとなんかムカついてきた。

 何で知らないおじさんが他人の布団の上で勝手に寝てるんだよって話なのだ。しかもここ自分の家だし。それにおっさん全裸だし。

 何よりもおっさん臭いし汚いし。とりあえずこのままではずっと寝れないので困る。

 でももうこの布団では寝れないだろうなとも思う。なぜならおっさんの汚いよだれまみれだからだ。

 そんな臭くて汚いおっさんのよだれまみれの布団で寝られるわけがないのだ。だが、こうしてる間にも刻一刻と時間が過ぎ去ってしまう。

 このままだと睡眠時間を確保せずに明日の仕事へと行かなければいけなくなってしまう。


「うーむ…」


 どうしたものかと考えていた。その時だった。スレに何か返信が来ていた。


「そのおっさんを布団ごと縛って外に捨てちまえ」

「なるほど」


 そこにはありがたい言葉が書いてあった。自分はこの返信を見た瞬間にこれだと思ったのだった。

 自分は早速臭くて汚いヨダレにまみれた布団でおっさんを縛ることにした。


「オエッ! くっさ!」


 吐きそうになりながら涙と吐き気をこらえてやっとおっさんを布団に結びつけたのだった。


「よし、まずは第一関門クリアといった感じだな!」


 でもここからが大変なのだ。なぜなら、このおっさんはちょっと小太りで体重が重そうなのだ。

 正直運ぶのは大変だなと思った。なので自分は布団を蹴って転がして運ぶことにした 。


「オラッ! オラッ!」

「ぐがあああ! ぐがあああ!」


 一応布団を転がしてはいるが、おっさんは全く起きる気配はなくそのままいびきをかきながらぐーすかと寝ているのだった。


「くっそこの親父、俺の苦労も知らないでよ!」


 怒りが沸きつつも淡々とおっさんの布団を蹴って外へと運んでいく。


「よし、とりあえず家からおっさんを出すことができた!」


 ここまで来れば後はもうほぼ完了したようなものなのだ。後はおっさんの布団を蹴り続けてゴミ捨て場まで運べばそれで終わりだ。


「ふぅー、これで一件落着だぜ。消えろよ!」


 イライラして疲れていることもあって、早く寝たいがためにとにかくおっさんをなんとかゴミ捨て場まで運んだのだった。


「これでやっと俺も安心して眠れそうだ」


 ホッとしたらあくびが出てきた。そう思った矢先だった。


「ぐがあああ!」


 おっさんはゴロゴロと転がり始める。


「なんだ!?」


 おじさんはなんと自分の家の方に向かって転がり始めた。


「ふざけんなよ! クソがぁ!」


 これはまずいと思って自分も対抗しておっさんをゴミ捨て場の方に蹴り上げた。


「クソいい加減にしやがれこのオヤジ!」


 めちゃくちゃに布団を蹴った。そして次はおじさんが転がって出てこれないようにちゃんとネットをかけてゴミ捨て場に置いておいた。



「これで今度こそ安心して眠れる」


 自分はやっと床に就くことができたのだった。次の日、ゴミ捨て場が気になったので仕事に行く前に見てみることにした。

 するとおっさんも布団も消えていたのだった。いったいおっさんと布団はどこに消えてしまったのだろうか?


「死んでなければいいけど。まぁそんなことはどうでもいいか」

 そのまま仕事へと向かった。そしてこの後、そのおっさんが仕事場の社長だということが分かった。

 ちなみに社長は行方不明になったらしい。自分のせいで行方不明になっていないことを信じたい。

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