休日の優雅な時間の使い方
みんなはこの世で一番優雅な時間の過ごし方を知っているだろうか? 私は知っています。
今、私はその優雅な時間の使い方をしています。それはね、夏の暑い日にエアコンのクーラーをガンガンに効かせた家でトロピカルジュースを飲みながら競馬中継を見ている時なのです!
これが一番優雅な時間の使い方さ。これを超えるような優雅な時間の使い方はないね。
「いやー、それにしてもトロピカルジュースが美味しいね。さてとどのの馬に賭けようかな?」
この男アロハシャツを着て麦わら帽子をかぶり、ハートのサングラスまでしている。
気分はまさに南国にいるような感じだった。
「このワタシカチマスノという馬に単勝で賭けちゃおうかな。ざっと10万円ぐらい賭けちゃおうか」
この10万円は生活費と家賃が含まれていたのだった。
「よーし、勝負の時は思いきって賭けなきゃな。まあ多分ワタシカチマスノという名前からして絶対勝つだろうな」
男は優雅にトロピカルジュースをチュウチュウと吸っていたのだった。果たして勝負の結果は…。
「ふざけんじゃねえよ! 競馬負けたは! 一瞬で10万円がパーになったわ! マジで糞な一日だったわ! ほんとにね、いったいなにが優雅な時間の使い方だよ! ふざけんなよ!」
競馬で負けて優雅な時間から一変してクソな時間に変わったのだった。
「本当にどうすんだよ! 洒落になってねーぞ! 10万円は家賃と生活費が含まれてんだよ! なんだ、俺に死ねって言いたいのか! 俺は死ななきゃいけないのか! ふざけんなよ!」
男はめちゃくちゃ文句を言っていた。
「何がワタシカチマスノだ! そんな名前してなんで勝てないんだよ! 本当にむしゃくしゃする!」
そう言うとハートのサングラスを地面に叩きつけて麦わら帽子もどこかへと投げ捨てた。
「いやー、本当に今日は最悪の一日だったなぁ。こんなにムカついてるのは久々だぜ ! 何か優雅な時間の使い方だ、本当にクソくらえ! 全然優雅な一日でもなんでもねえよバーカ!」
とにかくキレ散らかした。
「お前見てんじゃねえ! こんな惨めな俺を笑いたきゃ笑えよ! ワハハァ…」
男は虚空に向かってそう言うとおもむろに泣き始めた。
「くそ! 俺は本当に惨めだ! なんでこんなに底辺を這いずり回って生きていかなきゃいけないんだよ! 一体俺はどうすれば救われるんだよ! 誰でもいいから俺はこの部屋から救い出してくれよ!」
「わかりました救い出してあげましょう」
「え? 本当か?」
「はい、あなたはこの家から出て行ってもらいます」
この部屋から連れ出してくれたっていうのは本当だけど、連れ出してくれたと言っても追い出されただけだった。
男は実は家賃を滞納していたこともあり、それで追い出されてしまった。
「なんで俺がこんな目に会わなきゃいけないんだよ! しかも今日に限ってめちゃくちゃ空が晴れてやがる! 俺の心の中はどんより雲だよ!」
男はあてもなくトボトボとどこかへと向かって歩いていく。果たしてこのまま生きていくことが出来るのだろうか?
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