カップルを別れさせる幽霊

 私は恋愛に未練を持って死んでいった幽霊なのよ! 私は仲良さそうなカップルを見ているとイライラしてくるのよ! 

 だから私は仲良さそうなカップルを別れさせるの!それが私の役目なのだ。


 この幽霊はとにかく嫉妬深くて目の前で男女が仲良くやっているだけでも仲を引き裂こうとする。

 そして目の前にカップルがやってきた。


「ケンジ、私あなたのことを好きよ」

「俺もだぜ、サヤカ」

 そんなこと言いながらラブラブとしていた。


 本当にムカつくカップルだわね! よーし、こんなカップル仲を引き裂いてやろうじゃないの!

 女の幽霊はカップルの近づいて女にとりついた。ヒューストンっとサヤカの体の中に幽霊は入っていった。


「…」

「サヤカ、いきなり止まってどうしたんだ?」

 サヤカという女の人が急に動きを止めたのだった。


「ケンジ…」

「ん、どうした?」

「あんた許さないわよ! 殺してやる!」

「サヤカ! 急にどうしたんだよ!」

 カップルの女の方は 何者かに取り憑かれたように急に暴れだす。そしてケンジの首を両手で締める。


「あんたなんか嫌いなのよ!」

 カップルの女はそのまま男の仮面をぶん殴った。


「おいサヤカ! 何すんだよ!」

 よし、これで私の役目はもう終わりね。女の幽霊は女からスーッと抜け出したのだった。


「サヤカ、お前は本当にクソみたいなやつだな!」

「ちょっと、ケンジ? 急に怒ってどうしたの?」

「一体俺の何が気にいらないんだよ! 言えよ!」

「ケンジ、さっきから何言ってんの!? 私がなんかしたの!?」

「お前俺にしたことも忘れたのか? 本当にふざけんなよ! このアバズレ野郎が!」

「ちょっとそこまで言うことないでしょ! 私が何したっていうのよ!」

「お前さっきまで自分がやったことすら覚えてねえのか!? 頭悪いんじゃないのか!? ふざけんじゃねえよ! ボケ!」

「さっきからなんなのよアンタこそ! もうケンジの顔なんて見たくないわ!」

「はいはいそうですか! じゃあ別れてやるよ! このクソが!」

「なんなのよその態度! このチ◯カス野郎!」

 早速だけど、カップルを別れさせてやったのよね! 女の幽霊はケラケラと笑っていた。

 この幽霊はこの手法で今まで何度もカップルを別れさせてきたのだ。


 全く馬鹿な人間共め! 私の前でイチャイチャするからこういう目にあうのよ!

 この幽霊は性格が悪くわざわざ恋愛成就のスポットに行ってカップルを別れさせたりしているのだ。


 さっさとカップルなんて滅びればいいのよ! 私の夢はこの世から一匹残らずリア充を駆逐することなのよ!  それが私の役目なのだ!

 この幽霊は今日もどこかでカップルを別れさせようと躍起になっている。もしも突然、彼氏彼女が急に態度を急変させても怒らないようにしてほしい。

 もしかしたらこの幽霊に取り憑かれているかもしれないのだから。

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