不良学校からの脱出

 自分はものすごくバカな学校に通っていた。いわゆる偏差値の低い学校だ。なのでクラスのやつは全員ヤバそうなやつばかり。

 もちろん自分も馬鹿なのだが、周りが馬鹿すぎて自分は頭の良い部類に入っていた。そしてバカ学校なのでいい子ちゃんは馬鹿に嫌われる対象となる。


「あいつ調子乗ってね?」

「それなー、ちょっと勉強できるからっていい気になってんじゃねえぞ。殺すぞ!」

 こんな感じだ。この学校は自分にとって命の危険すらあるのだ。先生はとくに何もしてくれない。


 ある日のことだった。

「これを大切にしいや」

「こんなの貰ってもいいの!?」

「今後なにがあるか分からないからねぇ~。お守りだと思って持って行って」

「ありがとう! 大切にするよ!」

 自分はおじいちゃんとおばあちゃんに金の延べ棒をもらった。これを売ったらどのくらいするだろうか?

 おそらく400万円ぐらいはするだろう。だがしかし、どこからか自分が金の延べ棒持ってるってことが学校のやつらにばれてしまった。そして脅迫が始まる。


「お前ん家に金の延べ棒を取りに行くわ」

「お前調子こいってからな。俺たちが没収したる」

 廊下で不良に待ち伏せされることもある。自分は3年間こんなところで勉強出来るのだろうか? いや無理だ。

 自分はもうこんな学校生活に耐えられなくなっていた。自分は頭が悪いが、転校するために転入試験を受けたいのでそれに向けて必死に勉強した。

 とりあえず二学期には絶対に違う学校に行くと決めた。そこから来る日も来る日も勉強した。

 とにかく不良学校から脱出したい一心でただただ勉強した。自分はバカだけど、バカなりに頑張って勉強した。


 そして見事に合格した。晴れて普通の学校に転入することになった。なんと清々しい良い気分なのだろうか!

 おそらくあのまま、あの学校にいたら金の延べ棒は取られていただろうし、カツアゲされたりパシリにされたり散々な3年間を送ることになっていただろうと思う。

 あの時必死に勉強して本当に良かった。今は違う学校で普通に友達ができてみんなでワイワイやれている。

 それにしても、あのタイミングで不良学校を抜け出せて良かった。まだクラスの不良達が入学したてで間もない1学期だったからあまり影響はなかったが、2学期となると夏休みを経て不良達が仲良くなってきたりするので絶対に危なかった。

 不良が団結したらヤバイ。今の自分は上から押しつぶそうと迫りくる壁に残り1秒でギリギリ横に脱出できたようなそんな感覚だ。

 とにかくあの時本当に勉強を頑張っといて良かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る