喋る火山
私は登山をすることが趣味なのだが、登山の回数を重ねていくうちに自然の声が聞こえてくるようになったのだ。
自然と言っても、植物が喋っていることもあれば山が喋っていることもあるのだ。そして自然は、いつも人間に語りかけている。
「ここは危ないよ!」
「こっちは安全!」
とかの言葉を自然は語りかけている。そのおかげで私は安全に登山を出来ている。ある日、私は火山の登山をしていた。
天気も良くてまさに登山をするには絶好の日だったのだ。私は軽快に火山を登っていた。今日もいつも通りに登山をしているのだが、今日は自然の様子がおかしかった。
「ここは危ないよ!」
どこのルートでも、ここは危ないと言っていた。まあ、火山だからしょうがないのかな、なんて思った。
「噴火しまーす!」
すると、どこかから噴火しますという声が聞こえてくる。他の人には聞こえている様子がなかったが、私にはこの火山が喋っているんだということがすぐに分かった。
もしかしたら本当に火山が噴火するかもしれないと思ったから、私はすぐに下山の準備をすることにした。
今日の自然の様子がおかしかったのも、火山が噴火しそうだとと考えれば合点がいった。
「噴火しまーす! 本当に噴火しますよ!」
また声が聞こえてきた。間違いなく火山が喋っている。火山の喋りを聞く感じだと、もうあまり時間がないらしい。
私は急いで下山をすることにした。まさに転げ落ちるようなスピードで下山した。自然の声のおかげで安全かつ早く下山できた。
下山の途中で他の登山者にも噴火するかもしれないと注意を促したが、誰も聞く耳を持ってくれなかった。
「どうして噴火するって分かるの?」
「そ、それは…」
火山が噴火するなんて喋っていたなんて言っても、誰も信じるはずなどなかった。むしろ頭のおかしい人に見られたと思う。
みんなその後、普通に火山を登っていた。とりあえず、下山中にやれることはやったと思う。正直、自分すらも助かるかどうかも分からないのでとにかく早く下山をした。
そのあと車に乗り込んで、すぐに火山の周辺から離れた。その時だった。
「パーンッ!」
という大きな音がした。それと同時に火山からは噴煙が立ち上っていた。さっき下山途中で、すれ違った人達は大丈夫だろうか?
なんてことを考えながら火山から更に距離をとった。自分は無事に助かることが出来た。後日、火山の噴火によって多くの犠牲者が出たことが分かった。私はまさに間一髪だった。
後から何人かは、私の話を聞いて時間が経ってから思い直して下山をしてくれたらしい。その人達は助かったらしいので少しは声をかけた意味があったのかなと思いたい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます