多くの人が消される未来が見えた

 多くの人が怒りに身を震わせていた。そして、そんな怒りを持ったたくさんの人たちが広場に集まっていた。

 みんなプラカードとか思っていたり騒いだりしてかなり怒っている様子だった。だが、この時自分だけがこの後恐ろしいことになる未来を知っていた。

 自分はある日から突然、10分後の未来に起こる最悪なことを見れるようになっていた。いつも最悪な未来が見える時は電気がビリッとした感覚が体を駆け巡る感じだ。

 一体何でこんな能力を手にしたかは不明だ。でもこの能力のおかげで自分は過去に何度も死ぬ運命から逃れられてきた。

 自然災害も交通事故もこの能力のおかげで今まで一度も巻き込まれることなく逃げることが出来たのだ。

 そして今回も電気が走るような感覚があったということは、自分が10分後に死ぬ運命が訪れるかもしれないということだ。

 そして未来が見えた。その未来にはこのあとここにいる人はみんなまとめて消される未来がはっきり見えた。

 このままいくとこの運命は確定だろう。ここの広場にいるみんなは消されるそういう運命なのだ。

 そもそもこの広場にこんなに人が集められたこと自体が奴らの罠なのだ。奴らは奴らに抗う邪魔者を消すためにみんなをエサで食いつかせて怒らせてここにわざわざ誘き寄せたのだ。

 自分に群がるハエをあぶり出しまとめてたたき落とすような、そんな感覚に近いのだろう。

 自分も知り合いにここに連れてこられたが、この後自分が死ぬ未来が訪れることを知っていたのでので急いで建物の床下に隠れた。

 自分は隠れて外の広場の様子を声を押し殺して見ていた。もし見つかれば自分も奴らの抹殺対象になってしまう。

 だが、自分の中の電気が流れるような感覚がなくなったので、恐らく大丈夫だろう。とりあえず安堵した。

 そして、今から死んでいくもの達よ、どうか許してほしい。もはや自分一人ではどうすることもできないのだ。

 自分は誰も救える力がないし、勇気もないのだ。せめて知り合いだけでも助けたようと思ったが「お前はバカか!」と言われて話すら聞いてもらえなかった。

 それほど知り合いも怒りに身が震えているんだ。でもそれは罠なんだ。頼むからみんな広場から逃げてほしい。


「ふざけんなクソ野郎が!」

「出てこいクソ野郎!」

 外でみんなの声が大きくなった。どうやら一つの建物にみんなの恨んでいる人物の影をみんなが見つけたらしい。

 そして、その建物に向かって物を投げたり罵声を浴びせたりしているようだ。自分は建物の床下に隠れて床下換気口から外の様子を見ていた。そして約束された未来の時間がやってきた。


「キャーーーーーーーー!!!!!!」

「ああああああああああ!!!!!!!!」

 何者かによって火を放たれて、広場にいたみんなが一斉に火にあぶられたのだ。みんな火に焼かれる苦しみにのたうち回る。

 自分は泣きながら人間が火にあぶられる光景を見ていた。火に消えていった人たちの悲鳴を聞くしかなかったのだ。

 こうして自分は自分の命可愛さのあまりに、またおめおめと生き残ってしまった。でもしょうがないじゃないか。

 誰だって自分の命が奪われる未来が分かっていたら、自分の命が奪われない方法をどうにか取るに決まっているはずなのだ。

 それに1人でみんなの命を救う未来に連れ出すことは出来ないのだ。

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