第15話 光の使者 オルカガール

邪神は余りにも強大で、全く歯が立たなかった。


「もうだめだ。」 そう諦めかけた時、


カァァァァァア!

闇の中に光の柱が現れたのだ。


//私の領域に干渉するとは…

やはりいらしましたか\\


コォォォォ!

光の柱は徐々に大きくなり、空間全てを飲み込んだ。


キラキラキラキラ…


なんて温かな光なのだろう。身体の痛みが消えていく。

立ち上がった俺の前に一枚のカードが浮かんでいる。


「マサル!これ受け取って!」

カードからルルカの声がした。


シュウウウ!フッ…

カードを手に取ると光は消え、元の空間に戻っていた。


「主よ、平気か?」


「はい。今の光のお陰で回復したようなのです。あなたも助けられたのですよ。」


2人も光によって回復していた。

謎だが感謝しかない。ただ、ここにいたルルカの姿が見えない。

まさかと思いさっきのカードに目を通す。


「…分かった!これで倒せって事なんだな。」


//そんなのでこの状況が変わるとでも?\\


「変えてやるさ!俺たちの絆のちからでな!」


「俺は手札のクリーチャーを召喚するぜ!」

キュピーン!


「深淵より昇る一条の光明よ!俺達の未来を繋げ!参上『オルカガール』」


邪神の前に現れたのは鯱型のヘルメットを被りオルカマンのスーツをまとった少女…

そう、ルルカだ。まるで意味が分からないが、『オルカガール』という名でクリーチャーと化したのだ。俺は感づいていた。彼女ならこの困難をぶち破れると!


「私は『オルカガール』!正義の味方よ。私がみんなに代わって成敗してあげる!」


//ただ、衣を変えただけではないですか。決して私には敵いませんよ。\\

邪神は不気味な笑みを浮かべている。


「決めつけるのはまだ早いぜ!『オルカガール』の効果発動!」


シュッ!


合図と共に飛び立つオルカガール。


シュピピーン


彼女は迫り来る触手を掻い潜り敵の懐に飛び込んだ。


//無駄ですよ。\\

先程とは比較にならない程の触手が襲いかかる。それに呑まれると思った瞬間…


カァァァァ!

眩い光を放ち消え去った。


//触手が動かない…何をしたのですか?\\


「オルカガールの効果を発動していたのさ。このカードを墓地に送る事で相手クリーチャー全ての効果を無効に出来る。その触手はただのタコ足になったんだぜ。」


//迂闊でしたね。あなた方への認識を改めますよ。\\


「これで終わりじゃ無いぜ!墓地の攻撃力500以下のクリーチャー一体を戻してオルカマンの効果発動!」

「オルカフラッシュ!」

ペカー

オルカマンのおでこが発光した。


//ぐっ…\\

光に怯む邪神。


「この光は悪を照らす正義の光。そして、私の誇示そのものだ!」

オルカマンは拳を構える。

なんと、おでこから拳に光が集まってゆく。


「これで、あんたの攻撃力は0になり、オルカマンの攻撃力は1000上がったぜ。」


//面白い…私を…本気で…倒すのですね。\\

邪神の声がどんどん震えていく。


「そうさ!あたしたちの絆をなめないでよ!」ザッ

手札に戻ったオルカガールが再びフィールドに躍り出た。

「オルカ・ボンド」

彼女の腕から光線が放たれ、オルカマンを包み込む。

「これで、オルカマンの攻撃力は4000。今がチャンスだよ!」


「合わせるぞ!オルカマン!」


「分かった!」

オルカマンの目が邪神の本体を捉えた。


//勝ったと思わない事ですね!「禁止制限(リミットレギュレーション)」\\

邪神の眼から闇が漏れ出す。

その闇はオルカマンを呑んだが…

「うおおおお!」

眩い光に包まれた彼は止まらなかった。


そのままトップスピードでオルカマンの一撃が入る。


「「激流のオルカスマッシュ!」」


カァァァァァアー

その拳は邪神の身体を貫いた。


//…ハハハ。まさか私を倒してしまうとは…あなた方は面白い。…またお会いしましょう。\\

サァァァ…

邪神は不気味な一言を言い残すと、光に呑まれ消滅した。



「勝ったのか?…」

頭がふらつく…周りの様子はもとに戻ったようだが、まだ悪夢の中にいるみたいだ。


バタッ…


俺はそのまま気を失った。

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