第3話(天城視点)

日与理も僕と同じ結論に至ったのか、険しい顔で僕に話しかけてきた。


「…天城、あいつらの言葉の力って…」


「うん、分かってる。だいぶ厄介だね。けど…」


笑ってしまいっている。相手の手数は実質無限、読み切ることなんて不可能けど、だからこそと思ってしまう。


「ちょいちょい、あれ見てもまだ笑ってられるの?怖ー。」


「いいよ、所詮私とめぐりんの愛の前にはひれ伏す他ないから。」


まずは、うん。2つ目の手札で行こう。


「日与理、僕が前に出る!後は分かるね?」


「…任せて。」


僕の能力のrunは、様々な場所を走れるようになるという能力であって特段足が早くなるわけでもなければ、蹴りの威力が増すわけでもない。ただ、ここにwallが加わることによって僕の機動力が抜群に増すことになる。


「『空中歩行ジ・エア』!」


空気の壁を空中に作り、その上を走っていく。だけど上に行きすぎたら前に出た意味が無い。僕が彼らの気を引くんだ。そう、高さとしてはdiceの能力の人の頭ぐらいに足が来るように。


「おいおい、こっちに向かって正面から走ってくるなんて大した胆力じゃん。なら俺も真正面から受けてやるよ!『賽の目ダイスロール』!えっと、お!wall《壁》じゃん!ちょっと借りるぜお前の技!」


「…めぐりんの考えてる事は分かるよ。任せて。」


「「『創作壁クリエイトウォール』!」」


そのらめぐりが地面に手をつけると 彼らの目の前に高さ10mはある巨大な壁が生まれた。それは舞台を区切り完全に天城と彼らを隔ててしまった。


「障害は僕には意味ないよ!そんなの越えていくから!」


天城は壁にぶつかるとそのまま垂直に登っていき、3秒も経たずに頂上に到着した。


「高さをくれてありがと!『超高度踵落とし!ハイフォーリングヒール』!」


「こっちこそ!そっちから来てくれてありがとな!」


存と運は頭上から落ちてくる天城に向かって右手を掲げた。



「「『反発レジスト』!」」


「っ…!」


壁はあくまで僕の前進を遮るものじゃなくて、能力を変更したことを悟られないための視覚的障害…!

このまま全力の攻撃を食らわせたら、何かしらの形でカウンターを貰うはず!なら、環相手にやったみたいにすぐに中止を…


「…もう遅いよ。」


「な、体が…!」


これは浮力?いや違う、上方向への落下エネルギーだ!さっきの勢いのまま上に体ごと跳ね返された!

これは、上手く受け身が取れないかもね。やむを得ないけどっ…


「『空気壁エアウォール』!うっ…!」


これ以上飛ばないために僕の真上に空気の壁を作ったおかげで上昇は無くなったけど、それを止めるために背中から思いっきり壁にぶつかったせいで肺から空気が押し出されてしまった…!まともに呼吸か出来ないっ!せめて足から着地すれば何とか…!


「受け身は取らせねぇよ!『転がる賽ローリングダイス』!」


運が能力を発動すると天城の体が空中で突如回転し始めた。そして、そのまま地面へと落ちていく。まるで転がる賽のように。


「運が良ければちゃんと着地できるんじゃない?めぐりんの能力ってそういうものだから。」


これは、マズったかもね!体がゆう事を聞いてくれない!ほんとに運任せで着地するしかないのか…!

とりあえず衝撃に備えて…!


「…ふぅ。間に合った。」


「日与理?」


気がついたら日与理が僕の体を両腕で受け止めてくれていた。そして彼女の体の至る部分に文字が刻まれていた、strong,quick,hardなど、その数はパッと見ただけでは数えることが出来ない。


「…簡易版だけどね。なんとか完成したよ。私の必殺技、『身体改造デウス・エクス・マキナ』。」


「ふぅ、なら今度は僕が後衛かな?」


「…任せて。ここからはもう手も足も出させない。」

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