第30話

まあ、隠しておく意味もないし言っちゃっていっか。


「俺の能力はremember《思い出す》なんだけど、それを発動するとdown《下げる》とread《読む》の能力が使えるようになるんだ。」


俺がそういうと四人は目を見開いて驚いたように俺を見た。自分で言うのもなんだが驚いて当然だと思う。

なぜならrememberの能力を使うと実質能力三つ持ちになるからだ。この数はこのチームの中で最も多い能力数だ。


「え、downだけじゃなかったの、環が使えるようになるのって。」


「ああ、うん。ちょっとね。」


「それにしても、なんでrememberの能力を使うと、能力が増えるんだろう?」


「明、それ私も思ってた。」


「なんでだろう?」


「「「「「うーん...」」」」」


俺たち五人は顎に手を当てて、顔を伏せて考えた。確かになんでだろう?そういえばなんでだか俺自身考えたことなかったな。そして、三十秒程五人で黙って考え込んでいると、突然日与理が「あっ!」と声を上げた。


「環の能力ってrememberだよね。」


「うん、そうだけど。」


「もしかしてだけど、環の前世の能力なんじゃないかな?中二病っぽいけど。」


「確かに。でも俺前世なんて思い出してないけど...」


「まあ、そんなことどうでもいいよ。早くお風呂に入って寝よう。私もう眠い。」


「うん、そうだね。じゃあ近くの銭湯にみんなで行こう!うちのお風呂で順番に入ってると時間かかっちゃうからね。」


「「「「賛成!」」」」




************



私の名前は空野風花。今明と、日与理と一緒に銭湯に来ている。そして私の目の前には明の顔があり、少し目線を下げると、そこには巨大な核兵器が存在していた。彼女の数々の男子を殺してきたであろうそれを富士山に例えるならば私のものは関東平野、いや砂場の山くらいはあるはずだ。


「ぐぐぐ...」


「どうしたの風花ちゃん、怖い顔して。」


「無自覚核兵器はこれだから。」


「日与理ちゃんまでどうしたの?」


「いいや、別に。」


日与理ちゃんもそんなこといってるけど彼女も大概である。なんなの、あのくびれ!スタイル良すぎない?やばい、この二人と私いたくない。顔もスタイルも百点すぎるでしょ。というかうちの学校の女子みんなかわいすぎでしょ!


「ねえねえ、明ちゃんと風花ちゃんって好きな人いるの。」


「いないけど。」


「わ、私もいないけどー?」


「あれれ~?風花ちゃんなんか怪しくない?」


「そ、そんなことないけどー。」


や、やばい。このままだと私が環のお姉ちゃんの結お姉さまが好きだとばれてしまう。


「もしかして、来栖...」


ドキッ!もしかして、さすがにあからさますぎてばれちゃった?やばいどんどん体が熱くなってきて...


「環君?」


体の熱がスーッと急速に冷めていく感覚がした。


「は?違うけど。」


(ああ、この反応はガチで違うな。まだ会って一日だけど環に同情をいだくわ。)


「なあんだ、違うのか」





************


一方男湯では...


「環、風花意外と環のこと好きかもよ。」


「いや、あいつに限ってそれはないな。だって...」


ゾワッ!うわ、お風呂の中なのに鳥肌が。あいつ、やるな。

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