第27話
なるほど、これがreadの能力か。
「私はもう行くわね。さよなら。」
少女がそう言った瞬間、再び周りは動き始めた。屋上に吹き抜ける風の音が聞こえた。そして、少女と伊吹は消えていた。
それにしても、彼女はいつも唐突だな。気がついたらいるし、気がついたら消えてる。
「ねえ、ところで練習ってどうするの?」
確かに文瀬の疑問も
「天城、じゃなくて走は何か考えてるか?」
「僕は何も…」
「とりあえず学園長に報告したら?」
「確かに、お姉ちゃんにまず報告しよっか。」
『私もその方が良いと思うよ♪』
そうだな、じゃあとりあえず学園長のところに行くか。って、今の声って…
「「「学園長?!(お姉ちゃん?!)」」」
「え、今の声って…」
「なんか不思議な感じ。」
まるで今俺たちの隣に学園長がいるかのような、そんな声の聞こえ方だった。あまりにも自然すぎてびっくりしたよ。
『そうだよ~じゃあ学園長室で待ってるね~。』
「じゃあ、行くか…」
うちの学園長変わり者過ぎるだろ…
そして、俺達はちょくちょく迷いながら何とか学園長室、たどり着くことができた。どこかに向かう度にこの学園の広さを呪うわ。
「失礼します。」
「どうぞ、どうぞ。」
俺達は学園長から部屋に入る許可をもらったので俺と天城と風花は慣れた顔で、明と日与理は緊張した面持ちで扉を開け、中に入った。
「意外と早く5人集まったね。じゃあ今から君達に宿題をだすよ。」
「宿題、ですか?」
「そう。貴方達が実際にどのように戦うのか、来週までに決めて、私に教えてね。いわゆる戦略を決めて欲しい。じゃ、よろしくねー。」
そして、俺達は、その宿題を終わらせるため、なんか話の流れで五人で俺の家に泊まることになった。そのため、一度別れてから学校に再集合することにした。俺の家なら通り魔に襲われても、姉さんがいれば大丈夫だし。ちなみにあの後は有無を言わせずに学園長室を追い出された。
メールで五人で家に行くことを伝えたところ、姉さんは快く受け入れてくれた。
「着いたよここが俺の家。」
「ここにあの人が…」
「環の家初めて来たね。なんかワクワクするかも!」
「なんというか…」
「普通だよね。」
「ひどっ!」
俺は明の辛辣な言葉を背中に受けながら我が家の玄関の扉を開けた。
「ただいまー。」
「「「「お、お邪魔します!」」」」
「おかえり。いらっしゃい、どうぞ入って。ご飯は出来てるよ。」
中に入るとカレーの美味しそうな匂いが鼻を刺激した。この匂い、嗅いだだけでお腹が空く。さすが姉さんだ!
「じゃあ手を洗って早速食べるか。」
「「「「賛成!」」」」
そして俺達は手を洗って、美味しそうなカレーが並ぶテーブルの周りに座った。
「「「「「いただきます!」」」」」
「どうぞ、召し上がれ。」
「はあ、うまかった。」
「環のお姉さんって料理上手だね。」
「ああ、あの人の手料理…」
「なんか風花ちゃんのテンションおかしくない?」
「私もそれ思った。」
カレーを食べ終わった俺達はそのままリビングでカレーを食べた後の幸福感が残ったまま会議を開始した。なお、約1名はまだ帰ってこれていないもよう。
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