第24話

部長の宇曽間はどうやら能力二つ持ちだったらしい。それを聞いた俺はもちろん、他の三人も驚いていた。しかし、新聞部の他の二人の情野と探李は呆れたように部長を見ていた。


「部長、それ、楽しい?」


「もちろん!俺が二つ持ちだとわかったときのリアクションは何度見ても面白い!」


情野がそう聞くと、宇曽間は堂々と即答した。しかし、それを見た探李は余り良い顔をしなかった。当然である。


「うわ~、部長悪趣味。」


「ぐはっ!効くぜ、探李!」


「ちょっと!私達との約束忘れてないでしょうね!」


「もちろんさ!当然、後始末はしっかりとさせてもらうよ。明日には元通りになってる筈だ!」


宇曽間はそう言ったが、俺達はあいつの言葉を信じることができず、何度も聞き返し、言質をとらせた。


「はあ~、君達はとても疑り深いね。」


「今までのお前の行いを考えれば当然だろ。それと、もうひとつ聞きたいことがあるんだけど。どうやって俺達に部室を間違えさせたの?」


「ああ、あれね。あれはね…」


宇曽間が言うには、truthとlieの能力を掛け合わせることで、嘘を真実だと、信じ込ませることができるらしい。それも、一切疑うことなく。

改めて考えるとこの能力はかなりヤバいな。


「じゃあ、私達はこれで帰るね。」


「あ、待って風花。僕ひとつ探李先輩に頼みたいことがあるんだ。」


「え?僕に?なに?」


「新聞部なら知ってると思うけど、僕達は3ヶ月後の新入生大会に出るんだ。そこで、誰か僕か、環に相性が良さそうな人を探してほしいんだけど、良いかな?」


「もちろん!」


天城がそう聞くと、探李先輩は快諾してくれた。これは、探李先輩が良い人なのか、それとも天城のイケメンパワーが炸裂したのか…どちらにしても、この二人の構図は一部の人達に大変受けそうだ。


「じゃあ早速探すね。『照合マッチング』。」


探李先輩がそう言うと、彼女?の制服の下の右胸が光だした。そして、5秒ぐらい経つと、探李先輩の右胸の光が収まった。


「うん、天城君のペアなら見つかったよ。名前は文瀬日与理あやせひより。ここからはよろしく!しらせ君!」


「わかった、『分析アナライズ』。」


情野先輩がそう言うと、彼は、首の左側が光だした。よく見ると、彼の首には光輝く、informationの文字があった。そして、途中、少し驚いた顔をしたかと思えば辛そうな顔をしていた、ような気がする。

10秒ぐらい経つと、情野先輩の首の光は収まった。


「能力はgive《与える》とletter《文字》の二つ。クラスはB組。」


「二つ持ちなんだ。強そうだね、その日与理って人。」


「じゃあ、早速明日、その日与理ちゃんって人に会いに行ってみよ!」


「待ってくれ、その前に1つ事前情報として伝えておきたいことがある。」

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