第23話

「は?!何で被害者の私達がそんなことしなきゃいけないの?」


「あれ?そんなこと言うなら書き込み消さないし、間違えも正さないよ。いいのかなー?」


確かに風花の怒りも最もだ。というか俺も少し腹が立っている。だが、この場では状況の優位性は向こうにある。そのため、アイツが言う「勝負」とやらに付き合わなければいけない。


「ごめんね。なんか部長が変なことしちゃって。」


「つまらない。」


あれ?この二人って新聞部だよね。もしかして部長の宇曽間って余りこの部活内では強くないのか?もしそうだとしたら応援が期待できるな。


「おい、こら!そこの我が部員二人!そんなことを言うとお前にもあれをするぞ!」


「うっ、それは困るな…」


「ぐっ。」


さっきまで部長を余り意に介してなかったが、部長に脅された瞬間にいきなり二人は弱気になった。てことはあの現象はこの宇曽間ひとりで起こしたってことか?


「それで、勝負の内容だが、とても簡単だ。今までの俺達との会話の中からひとつおかしいところを当ててみろ。但し、回答できる数は一回だけだ。」


「おかしいところ?」


「環わかる?」


「いや、全くもってわからん。」


「どうしよう、私さっきまでめっちゃ怒ってたから全く会話の内容覚えてない…」


なるほどな。つまり風花は使い物にならない訳だ。そして、誰一人わかっていないと。


「これは環の出番じゃない?」


「うん。私もそう思う。」


「うんうん。だって環の能力はremember《思い出す》だからね。」


「え?俺?分かったよ…」


俺はとりあえず先ほどまでの会話をより正確に思い出すためにremember能力を発動させた。そして、それと同時に俺の右腕のrememberの文字が光だした。さっきまでの会話の内容の大部分は新聞部の自己紹介だったからそこから多分おかしいところを見つければ良いんでしょ。うーん……


「あ!」


「環わかったの?!」


「後少しだからちょっと黙ってて。」


えっと確か副会長はこれに何かの能力が影響してるって言ってて、ほか2人の部員の態度から部長の宇曽間の能力のはず。だから宇曽間がやったんだと思うけど、さっき宇曽間が説明した能力が本当だとしたら、あの記事はあそこまでの影響力は持たない。だってあの書き込みには『前後の文章』がないから。つまり「文章に嘘を上手く混ぜることが出来る」という能力自体がおそらく発動しない。つまりおかしいところは…


「ズバリ!宇曽間の能力の説明がおかしい!」


「おお!正解だ、環君!あと一応俺先輩だからね?」


「ああ、なるほど。環やるね。」


「そういうことね。来栖くんやるね。」


「えっ?どういうこと?」


「俺、宇曽間琴の本当の能力はlie《嘘》とtruth《真実》だ!」

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