第19話
「それにしても、そんなことを頼もうとしてたということは貴方達三人は不良じゃないのね。」
「もちろんです!」
「はぁ、やっぱり…」
天城がそう答えると、副会長の相生さんはため息をつき、そう言った。
「やっぱり?」
「ええ。だって普通こんなお粗末な前後の文章が一切ない書き込み誰も信じないでしょ。それに来栖君に至ってはなんの根拠もなしに不良って書いてあるだけじゃない。」
言われてみれば確かに。じゃあ何で皆は俺達のことを避けていたんだ?
「確かに。じゃあ何で私は風花ちゃん達のことを不良だと思ってたんだろう?」
「まあ、私の推測ですけど恐らく何らかの能力がこの書き込みに影響したことで信憑性を帯びたんじゃないかな。」
「なるほど。それにしても一体誰が…」
「それを調べるために貴方達は私のところに来たんでしょ。」
は!そうだった。最近の俺は物忘れがひどいな…
「ところで、どうやって調べるんですか?」
「天城君、良い質問ね!実は怜香はね…」
「会長は黙っててください。」
「は!ひどい…」
天城が質問をしたらそれに会長が答えようとしたら副会長が会長を止めた。この一連の流れでこの二人の関係性が大体分かった気がする…
「私の能力はね、trace《痕跡》っていうんだけどね、この能力を使うとね、色んな物のログを辿ることが出来るの」
「ほえ~、なるほど。つまりその能力を使って誰が書き込んだか辿るんですね。」
「そういうことよ、来栖君。ちなみにログを辿るからには掲示板の内容を見なきゃいけないけど大丈夫かな?」
「はい。僕は大丈夫です。」
「俺も大丈夫です。」
「私も大丈夫、で、す…。」
「空野さん本当に大丈夫?」
「うっ、はい、大丈夫です。」
「じゃあ見るわよ。」
そう言うと、彼女は生徒会室に置いてあったパソコンで掲示板を開いた。そして書き込みの内容を見た瞬間彼女は目を見開いた。刹那、彼女の後ろに般若が見えた。彼女は書き込みの内容を見た瞬間明らかに怒りの感情を見せていた。
「書き込みの内容、とてもひどいわね。特に空野さんのもの…」
「?!副会長、いえ、相生先輩。私達仲良くなれませんかね。」
「ええ、私達はきっと親友になれるわ。」
「相生先輩…」
「空野さん…」
何だこの雰囲気。何でこの方々はこんなテンションになってるんだ?そして、俺はとある禁忌に気がついてしまった。何と副会長の相生先輩も極めて空気抵抗が少ない体をしていたのだ。なるほど、そういうことか…
「じゃあ、今からログを辿って行くわよ。」
そう言うと、彼女は目を閉じた。そして、彼女の右腕の袖の下が光り始めた。
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