第14話

「あの、新入生大会って何ですか?」


まあ、天城の疑問も当然だろう。かく言う俺も全くもってわからん…!ここは学園長様の話に耳を傾けるとするか。


「実はね、ここ、言英学園以外にも英単語の能力の育成をしている学校が日本国内にあと六校あるのよ。」


「あ、それなら知ってます。確か、各地方九州、中国・四国、近畿、中部、関東、東北、北海道に一つずつあるんですよね。」


天城、お前は顔だけじゃなくて知識面まで最高なのか…?いや、俺が無知すぎるだけかも。そんなまさか、だって俺はrememberの男だぜ?記憶力なら自信がある。そんな俺が知らないってことはつまりマイナーな知識ってことだよな。


「ということはここが中部地方だから…ああ、だからここ以外に六校あるんだね。」


なに?!風花も知っているだと?おかしいっこの俺が羞恥心MAX系ガチ恋勢に負けた…?っ!これは殺気?!一体どこから?あ、風花すごい睨んでる。

ふぅ、不本意だがここで思考を止めておくべきか。


「ええ。あ、因みに各校の名前は分かるのかしら。」


「えっと確か九州が智南高校ちなんこうこう、中国・四国が瑠璃高校るりこうこう、近畿が和藤高校わとうこうこう、中部が《言英学園》で、関東が、えっと…」


聖凰学院せいおうがくいん、東北が秋紅学園しゅうこうがくえん、北海道地方が雪音高校せつねこうこうですよね、学園長。」


「流石だねー。それにしてもさっきから環君黙ってるけど、もしかして分かってない感じ?」


「い、いやまさか、そんなはずないじゃないですか。」


これは鏡を見なくてもわかる。恐らく俺の目は死ぬほど泳いで冷や汗をかいていることだろう。待って、3人ともそんな優しそうな目で見ないで…。


「環さん無理しなくていいんですよ。」


「そうですよ、環君。分からなかったら分からないって言いましょう。」


「分かってるよ、多分…」


ちくしょー。分かってねーよ、本当は。でも見栄張りたいじゃん。それに風花の奴ちょっと笑ってるし。天城に関しては悪気はなさそうなんだけどね。風花は絶対にバカにしてる。あ、今あいつちょっと吹いたな。


「まあ、それならいいですけど。あ、本題から反れちゃったけど、新入生大会っていうのはその各校から新入生を五人代表で出して競わせるんだ。」


「なるほど。つまり、その五人の内の三人が俺たちってことか。」


「そういうこと。受けてくれる?」


「別に僕はいいですよ。」


「私もいいですよ。」


「ありがとう。環君は?」


「別に俺はいいですけど。何で俺なんですか?」


「知ってる?この学園で一番強いのは生徒会長の秋宮才理なんだけど、なんと合計で5つも英単語を持ってるんだ。」


「へぇー、凄いですね。」


「でしょ。凄いでしょ。でもね環君、君はねそれ以上に強くなれる可能性を持ってるんだよ。」


「俺が、生徒会長よりも強く?」


「うん。そうだよ。そして、天城くんと風花ちゃん。あなた達の能力は入学時点でも1年生の中でかなり上澄みにいる。だからこそあなたたちには内部からの刺激ではなくて外部からの刺激が欲しいと思う。」


「お姉ちゃん…」


「学園長…」


「もし君たちが辞退するようなら今回の大会は降りようと思う。私はそれぐらい君たちに可能性を感じているんだ。」


そう言った先生の目は嘘をついている気配など一切なくて。こちらの心を真っ直ぐと見られているような気さえした。そして俺はその目を見た上で、断る勇気なんてものは当然持ち合わせていなかった。


「はあ~。もうそこまで言われたら受けますよ。」


「ま、お姉ちゃんの頼みならね。」


「僕はどんな頼み事でも受けてたちますよ。」


「ありがとう。環君。」


「あの、先生。残りの二人は誰なんですか?」


「実はね、まだ決めてないんだ。君たちに決めてもらおうと思ってね。期限は3ヵ月後!」


「えっと俺達が決めるんですか…?」


「そう。その方が面白そうだし。」


「そんなんでいいのか…」


声先生とはまだ少ない時間しか関わっていないが、この先生のことが少し分かった気がする。多分この先生は自由なんだ。自分がやりたいことをやって、自分の信念をしっかり持って行動できる。ちょっと責任感が足りないかもだけど人を信じさせる不思議な魅力が声先生にはあるんだ。


「じゃあよろしくね。3人とも。」


「「「はい!!」」」

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