第13話
「え?学園長のスピーチは?」
「ありませんでしたね。お姉ちゃんのスピーチ。」
何でだ?でもあの人のことだからスピーチ原稿が完成しなかった、というのもありそうだけど。
「環、スピーチって何かな?」
「ああ。お前は知らなかったな。確か風花のお姉ちゃんが学園長だってことは言ったよな。」
「うん。聞いたよ。」
「それでな、その学園長が入学式でスピーチをする筈だったんだけど…」
「もしかしてお姉ちゃんに何かあったんじゃ…」
『新入生の来栖環さん、天城走さん、空野風花さん。学園長がお呼びです。学園長室に来てください。』
「「「え?」」」
その唐突なアナウンスに俺達3人仲良く声を揃えて思わず声を上げて驚いてしまった。
何かやったか、俺たち。い、いや何もやってないはず… ヤバいなちょっと不安になってきた。俺たち本当に何もやってないよな。とりあえず他の二人にも聞いてみるか。
「俺たち何かやったか?」
「いや、何もやってなかったと思うけど。」
俺がそう聞くと天城は少し驚きの色を声に滲ませながら否定をしてくれた。
だ、だよな。良かったー。やっぱりイケメン君は信用できるぜ。イケメンというだけで信じる要因になるなんて流石だぜイケメン。
「お、おう。そうだよな。」
「ということはやっぱりお姉ちゃんに何かあったんじゃ…」
風花は姉の声先生のスピーチが急になくなったことと、急なアナウンスが重なったこともあり、とても焦っていた。
「とにかく早く学園長室に行こう。」
そして、俺達は急いで学園長室へ向かった。
「待って、誰か学園長室の場所知ってる?」
「「あ……」」
はあ、はあやっと見つけた。広すぎだろこの学校。一体何人の先生に聞いてハシゴしたと思ってやがる。
「はあ…大変だったけどこれでやっとお姉ちゃんの安否が確認できる。」
「よし、じゃあ行くぞ。準備は出来てるか?」
俺がそう聞くと二人はコクコクと同時に頷いた。
コンコン
「あ、どうぞ。」
「「「失礼します」」」
「お姉ちゃん大丈夫?!」
「あはは、ごめんね。心配かけちゃって。」
部屋に入るなり、風花は姉の声先生の安否を確認した。見た限りどうやら声先生に問題は特になさそうだった。そしてその声先生の状態を見て、余計になぜスピーチをしなかったのかという疑問が3人の中で大きくなった。
「ねえ、お姉ちゃんスピーチはどうしたの?」
「あはは、えっと実はスピーチ完成しなくて、サプライズだったからやらなくても、みたいな?」
確かにスピーチなしで入学式が終わっても特にざわざわもしなかったし、天城もスピーチのことを知らなかったしな。だとしても流石にこれは…
「お姉ちゃん?私滅茶苦茶心配したんだよ。」
あれ?風花の後ろに般若が見えるな。声先生、南無三。
「ご、ごめんね風花ちゃん。」
「はあ、まあ特に何ともないようだったから良かったけど。次から気をつけてね。」
「は、はい…。」
「ところでなんで私たちのこと呼んだの?」
「ああ、そうそう。実は君たち3人に頼みたいことがあって。」
「頼みたいこと?」
「ええ。実はあなたたちに新入生大会に出て欲しいの。」
声先生はそう話を切り出した。
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