第9話
「
「姉さん、後5分だけ…」
「起きろ。」
バサッ!な!寝ている人から布団を取り上げるなんて。なんと残酷な。うん?そういえば今日って
「入学式の日じゃん!」
「うん、そうだよ。」
「姉さん、先に言ってよ。」
「先に言った。」
「え?そうだっけ?まあそれより早く準備しなきゃ。遅刻しちゃうよ!姉さん、8時まで後何分?」
「30分。」
「分かった。」
2分で着替えて、3分で朝ごはんを食べれば行ける‼
20分後…… 俺は必死に自転車をこいでいた。やべーー!しくったーー!まさか家の時計全部5分遅れてたなんて!しかも5分ってかなりでかいぞ!なんでだよ!とにかく急がなきゃ。そうだ!俺は風だ今。風になるんだ。疾風迅雷の如く交通安全に気を付けてチャリを走らせるんだ。
邪智暴虐の王ディニ〇スを倒すために。ん?今スマホが鳴ったけど無視だ。走れ環。あぁ後一分で電車が出ちゃう。急がなきゃ。
「よし、駅についた!あとは改札を通るだけ!」
そのとき、不思議なことが起こった。なんと俺の目の前を電車が通り過ぎていったのだ!そして、俺の中で何かが崩れ去る音がした。キラキラとした明るい青春生活、部活動に可愛い女の子とのキャッキャウフフ…
「うわーーーー!終わったーーーー!入学式からいきなり遅刻なんて嫌だーーーー神よどうか助けてくれーー!」
初日から遅刻とか絶対目立つじゃん。高校生活3年間ボッチとか辛すぎる…俺は地面に手をつけて、嘆いた。周りの視線など知ったことか。ああ誰か助けてくれないか。あ、何か女性がこっちを見て、あれ何かこっちに向かって来てない?
「やあ少年。神様だよ。」
「……」
「……」
「うわーーーー!終わったーーーー!入学式からいきなり遅刻なんて嫌だーーーー!神よどうか助けてくれーー!」
「無視はないんじゃないかな少年!ねぇ!あとすごく惨めでいたたまれないからやめてくれ。私が助けてあげるからさ。」
自称神とか怪しすぎるだろ。信用できる要素が欠片も無さすぎる。やはり、まずは110か?
「はぁ~。あの、誰ですかあなた?俺はあなたのことを知らないんですが?警察呼びますよ。」
「あー。そういうこと言うんだ。せっかく車で乗せてってあげようと思ったのに。というかこの状況で通報されるのって明らかに少年の方だけどね。あ、ちなみに怪しい人ではないから安心して。」
「『怪しい人ではないから安心して』って怪しい人の常套句ですよね。」
「少年、見たところその制服は
「はい、そうですが何か?」
「ちょうど、私も今妹を言英学園に送ってるんだ。だからおいでよ。乗せてってあげるよ。」
「いえ、怪しいので結構です。大体あなたの名前も知らないのに。」
「!?お姉さんまさかこれでも否定されるなんて思わなかったなあ~。じゃあこれでどうだ!この
そう言って、その人が見せてきたものにはこう書いてあった。
言英学園教師
と。
「え?言英学園教師?ということは先生?」
「そうだよ~。」
うーん、相手の身分も分かったし確実に言英学園に向かうことも分かったけど。どうしようか、でも乗せてもらう以外に遅刻しない方法ないしなあ。しょうがない。
「乗ってやらんでもないぞ。」
「それが乗せてもらう人の態度かな~?」
くっ、強情な女め。しょうがないそれでは全力の誠意を見せるとしよう。
「ぐっ!乗せて、下さ、い。」(土下座)
「そこまでしてとは言ってないよ⁉」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます