第6話
「うっ…」
俺は強烈な頭痛と共に目が覚めた。
「知らない天井だ。」
一度言ってみたかったんだよな。このセリフ。それにしても、白い天井に白いベッド。病院か、ここ?
「あ、
「姉さん、大丈夫だよ。」
「良かったー。環、何があったか覚えてる?というか、思い出して。」
「もうちょっと心配してくれてもいいのに。ええっと、確か実技試験の途中で強烈な頭痛に襲われて倒れたんだよね。」
あ、downの英単語消えてる。あれ結局なんだったんだ?
「!?…そう、それで、あの後相手の
恐らくあのイケメン君がすぐに起きたのは俺が倒れて、俺の能力の効果が切れたからだろうな。
「あ、そういえば、俺が倒れてからどれくらいたったの?」
「2日よ。」
「長っ!俺が起きた時の反応薄すぎでしょ。」
「まあ、環が起きるって分かってたからね。」
「え!?何で?」
「勘。」
「勘かい!」
「それはそれとして、明日だよ。」
「え、何が?」
「合格発表。」
「あ。」
ああそういえば忘れてたけど試験の3日後だっけ、合格発表。
「え、じゃあ今日中に退院しなきゃじゃん。」
「うん。だから今から諸々の検査をやって、体に異常がなければ、退院だよ。」
「諸々の検査かぁ。」
めんどくさそうだな。
そして、俺は2時間程かけた諸々の検査を終えて退院した。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「はあ、危なかったぁ。」
「そうですよ、あんなにあからさまに驚いて。怪しまれたらどうするんですか?」
彼女、
「それにしても、貴方本当に私より年上なの?そうは思えないんだけど。」
「失礼ですね、少なくとも生きた年数で言えば50年は、経ってますよ。」
「本当に?」
「本当です。」
「それにしても貴方とは初めて会ったような気がしないわ。不思議。」
「ええ、そうですね。しかし残念ながら正真正銘、初対面ですよ。」
「ところでさ、どうして環がどう答えるか分かったんですか?」
来栖結が特に取り乱さずにいられた理由はそこにあった。少女は環が倒れたと聞いた瞬間驚いて駆けつけた結の前に突然現れたのだ。そして、環がいつ起きてどのような言葉を言うのか。そこまで正確に当てて見せた。
「企業秘密です。それでは、これで私のことを信じてくれますか?」
「まあ、まだ怪しいけど。約束は守るよ。」
「ありがとうございます。それではまた今度。」
そう言って彼女はいつの間にか消えていた。そして、その場には、来栖結ただ一人が残されていた。
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