第4話
「それでは、今から実技試験を始めます。試験内容は、事前に、知らせた通り1対1の戦闘をこの体育館で行ってもらいます。名前を呼ばれた人から、順番に戦闘を始めてください。」
はぁ、始まっちゃったなー。嫌だなー。怖いなー。怪我しなければいいけど。周りにいるのは大体200人ぐらいか?それに今のところ俺の体には、何一つとして、変化がないし。あの飴で本当に強くなれるんだろうな。しかも『事前に知らせた通り』って、俺知らないんですけど。
「最初に、
「え!?」
「はい‼」
マジで?俺トップバッター?心の準備も出来てないのに?!見ろよ、俺の足なんか震えすぎて産まれたての子鹿じゃないか。
「それでは、二人は前に出てきてください。」
俺は諦めて、とぼとぼと前に出る。いや、待て出れねぇ。足が、ちょい動けって!よし、大人しくなったか。
「君が来栖環君かい?」
わお!なんと言う溢れ出る好青年オーラ。
プルンプルンのタマゴ肌にくっきりとした二重幅、一切汚れのない綺麗な黒い瞳に黄金比の涙袋。鼻はシュッと高く、程よく焼けた肌は唇の血色の良さを際立たせていた。
「ハヒッ?!」
「え?」
「あ、すいません。動揺の余り発音が少々乱れてしまって。」
「ははは。君は面白い人だね。でも、だからって手加減はしないよ。」
俺達は体育館の中で簡易的にテープで区切られた空間に入る。そして、審判を務めるであろう教師が声を上げた。
「では、最初にお互いの授かった言葉の力を宣言してください。習ったと思いますがこれは祝福に対する感謝であり相手に対する経緯でもあります。きちんとやるように。」
「remember《思い出す》です。」
「wall《壁》とrun《走る》です。」
「2つ持ちかぁ。」「おいおい死んだわあいつ。」「あの来栖環とか言う奴終わったな。」「キャーー!天城くーん!」「滅べ。リア充め。」「そんなフツメンぶっとばしちゃってー」「あいつがあの天城走…」
何か外が滅茶苦茶騒がしいな。いや、待てよ俺は聞き逃さなかったぞ、俺の味方が1人いるな。それにこいつはこの辺りでは有名なのか?まあ、それもそうか、相手2つ持ちだもんな。しかも
「イケメンだし」(普通の声量で)
「うん?何か言ったかい?」
「何でここで難聴発動してんだよーーー!!」
「え?どういう意味?」
「滅べーー!鈍感難聴系ラブコメ主人公がーー!」
そう言って俺は真っ先に奴に殴り掛かった。
ピーーーーっ!
「待ちなさい、まだスタートの合図を出してないわ。このまま手を出したら失格よ。」
は!危なかった。日頃の恨みが出るところ(出ている)だった。
「それでは、気を取り直して、実技試験第1試合始め!」
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