第1話
この話はプロローグから約1年前のこと。
今日我が来栖家では事件が起きていた。
『20代女性が、勤務先からの帰り道、何者かに刺され、死亡しました。』
テレビの中の女性アナウンサーが淡々と告げる。まるで今の俺の中に荒ぶる熱とは真逆の氷のように。そうだ、俺は今荒ぶっている。この願いを!希望を!押し通すために!
「はあ、通り魔か、怖いね。」
「姉さん俺、
そういう彼の名前は
「環も通り魔には気を付けてね。」
「姉さんどうしてさっきから無視するの!姉さん、俺は言英学園にどうしても入りたいの!」
そして、彼、環の発言を先程から無視している彼女の名前は
ちなみにレベルというのは、能力が干渉できる範囲、内容によって決まる。
レベル1は影響される範囲がごく狭い範囲に限られ日常生活が少々便利になる程度。レベル2は自分の体周辺であればある程度は自由に影響を及ぼすことが出来る。レベル3は全てが教室1つ分ぐらいならば自分の異能の影響下に置くことが出来る。レベル4は目に見える範囲は大体自由に自分の異能の影響下に置ける。レベル5ともなれば概念にまで干渉することが出来る。
「しつこいよ。大体何で言英学園に入りたいの? 」
ここだ、ここが正念場だ。ここで恐らく姉さんも感動するような理由を言えば俺の希望は押し通すことが出来る…!
「…あそこの学校女子が多いらしいんだ。」
「ダメ。動機が不純。」
「というのは嘘で、あそこの学校は言葉の力を中心に育ててるらしくて、楽しそうなんだ。それにいつの時代もお金を稼ぐのは言葉の力を上手く活用した人だからね。」
「動機は分かったけど、お金はどうするの?家はお世辞にもお金持ちとは言えないよ。それに環、余り頭が良くないでしょ。どうやって入るの?」
「たくさん勉強する‼」
「お金はどうするんですか?」
「宝くじで当てる。というか当てた。」
「え!?宝くじを当てた?」
「うん。なんとなく自分の誕生日にしたんだ。そしたら1等当たった。」
「はあ~。環は昔からそういうのよく当てるよね。rememberの意味を疑うよ。本当にrememberなの?luckyとかじゃないの?」
「違うよ。普通にrememberだよ。」
そうなのだ。彼は昔からじゃんけんや、競馬などで負け知らずなのである。その代わりくじ引きや福引きなどは別段たくさん当たる訳でもなく、普通である。
「ということで受験してもいいでしょうか?障害は全て乗り越えた訳ですので。」
「はぁ、しっかり勉強してね。」
「よっしゃーーーーー‼」
「その代わり留年したら覚悟しろよ。」
ひっ、この全身が凍りつくような感覚…!殺意っ…!
「はい…」
こうして俺は死物狂いで勉強した結果、無事言英学園の合格ラインを超えることに成功した。
学問の面では。
この時の俺は知らなかった。入学には実技試験があることを。
そして、その実技試験が対人戦であり、さらに俺の運命を変えることになるとは…
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