第8話 #5

#5

 

 刹那には、わからなかったが意味が理解できるとクツクツとノド元に込みあげてくる何かが、あった。わたしの書いたレポートの内容のことではないか。

 そして、私は立ち去る先生の後ろ姿に弾んだ声を投げかけた。


「それは、私に真実を暴露する力があるということでしょうか?」


 先生はなにもおっしゃらず立ち去った。


 そのやりとりを聞いていた近くの誰かが、私の肩を叩いていった。


 「村の子どもはただのバカ。あの後の話し、知らないの?」


 話しを聞くのもバカバカしいが、私は、権力より真実を手にしたい。


「しらないわ。聞かせて」

 

「なんだか余計なお世話だったみたいね。もう行くわ」


 そちらから声をかけてきたくせに。

失礼なひと。でも、わたしは親切だから教えてあげた。


 「あなたこそ知らないの?村の子どもは真実を暴く力を持っていたの。特別な子どもだったのよ」


 失礼なひともいってしまうと私は、先生に手渡された紙をクリアファイルに挟んでカバンに収めた。

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