呪いを解く

怨恨だけを残して死んだあるモノ。


禍が起こらぬよう古くから年に一度祈祷が行われていた。


それが今年、行の最中に僧正は呪われた。


顔色は変わらず平気なようだが本人に自覚がある。


けれど早晩には衰弱すると言った。


あるひとりの若い坊主は古文書を読み解呪の手がかりを探す。


その中で祈祷には囮のため身重の者を傍に置くという歴史的な行法を知る。


また、血に呪いを移しそれを山蛭に吸わせて解く方法もあった。


古くは山蛭を飼う専門職がいたらしい。


読む限り少なくとも14匹は山蛭が必要だ。


今から捕まえるとしても時間がない。


血に移す。血を抜く。


そして閃く。


若い坊主が念仏を唱えながら僧正とともに来たのは街中だった。


彼らの前には「献血」と書いてあった。

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