第6話 貴の夢とは?


貴は自分のこれまでを回顧してみた。父親は市役所の職員、母親は専業主婦の平凡な家庭に産まれた。何の不自由もない生活の中で大学を出て、東京で父親と同じ道に進んだ。いわゆる「レールの敷かれた人生」を歩いて来た様なものだ。不満も特にない。しかし、それは半分「仕方のない」選択だった。

貴は政治に興味があり、大学も政治学部に進みたかったが、学力が足りないことと、両親に就職を考えた学部を希望されたため、泣くなく経済学部に進んだのだ。この状況下、そんな自分を変えるには逆にいいチャンスなのではないのか?と考えても悪くはない。

「よし!ここは一丁、大学に再入学してやり直してみるか!」

貴は一念発起、政治学部の再入学を目指すことにした。この時はそれからどうする、という事までは考えてはいなかったが、それはそれ、明確なターゲットが決まったのだからそれでよしとした。

「その先はどうとでもなる」

今までの貴の思考では無くなっていたが、どこからとも無く今までにない生きてるという感覚、ワクワク感が湧いてきた。

「自分の人生は自分で決める。結果は結果でしかない。責任は自分が取ればいい」

そういう聞かせると、居ても立ってもいられなくなり、書店へと駆けて行った。

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