#6 ゲス野郎。
マズイ…まずいよアンタ…
警察にご厄介になるのァ、
あんま気分いいもんじゃねぇなぁ、
やっぱよォ。
俺ァこの前のジェニファーん時で
慣れてっから良いけどよ。
───え?普通ぁ慣れてるもんじゃねえ
って?
…まぁ、そうだろうともよ。
俺だってホントなら
慣れたかねぇよ、こんなもん。───
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
んで、あー、着いたわけだ。警察署に。
俺と、今にも泣きそうなリンダをなだめながら、
ぶるぶる震えてるクリスを出迎えてくれたのァ、
あの、パトリック・ラシター刑事。
「その説はどうもね、刑事さん。」
ところが、帰ってきた返事はと言やぁ、
「申し訳ない、ブロゾンさん。」
なんとも素っ気ねぇもんだった。
だが、気にかかる。
何だ、「申し訳ない」って。
んで、言われるまんま、奥の部屋に通された
ワケだ。
───────────────────
狭苦しくて薄暗いとこに通された俺と
クリス、そしてリンダ。
飾り気の無え、5人分の椅子と、
机の上にゃ、ちっこいテレビが1台。
んで、その傍に男が1人と、
リンダの母ちゃんが座ってた。
母ちゃんは、相も変わらず
ボロボロで、注射の跡がびっしり、
腕にあった。
リンダの母ちゃんは俺らを睨みつけ、
「リンダを返しなさい」
ってだけ言ってた。
返せってお前…玄関の前で会った時なん
つったよ?
「いないわよ、あんなクソガキ。」
つったんだぞ。
てめぇのガキを、さもゴミかなんかみてぇに。
そんな女に、そんなこと言う資格あって
たまるか。
…まぁこのクソ女の事ァ、今どうでもいい。
俺がコイツより気に入らねぇのァ、
この野郎だ。
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ベッタリと整髪料かなんか付けて、スーツ
もビシッと決めてたそいつ、
椅子からスッと立ち上がって
俺らに「お座り下さい。」とだけ言い、
「私は、弁護士のスペンサーと申します。」と、
名刺を渡してきた。
「ほう。で、そのスペンサーさんが我々に
どの様なご要件でございましょうか?
こんな恭しくお出迎え頂きまして光栄至極
なんでございますがね。」
とか何とか言ってやったが…
畜生ォ。
この野郎、俺の嫌味にも眉毛ひとつ
動かしやがらねぇ。
気に入らねぇ。
「そうですよ。第一、無作法だとは思いま
せんか?何も悪い事なんてしていないのに、
いきなり警察だなんて。こんな、取り調べする
みたいに。」
そうとも、クリスの言う通り、俺達ゃなんも
悪い事なんてしてねぇのに。
「ふざけないで頂戴!勝手にうちの娘を
誘拐して行ったくせに!娘を返せ!」
…はァ?
「奥さん、何を言ってんのか自分で分かっ
てんですかい?
あんた初めて私らに会った時、なんて仰っ
たか覚えてらっしゃいますかァ?
「知らないわよ!あんなクソガキ」って
仰ったんですよ。それを何を今更…」
俺の言葉にムカついたんであろう
リンダの母ちゃんが立ち上がると、
スペンサーが彼女を制止し、
改めて話を切り出した。
「失礼致しました。…バージントン様
今日我々がこちらへ馳せ参じた
理由をお忘れですか?」
リンダの母ちゃんは
なんとか落ち着いたようだ。……全く。
「ママ、ちゃんとおじさんたちの話も聞いてよ!」
初めてだ。リンダがこんな大きな声出すの。
「…ごめんなさい、リンダ。」
リンダの母ちゃんは、それっきり黙った。
「…お話が少々逸れてしまいましたね。」
スペンサーは、続けた。
「私どもが今回馳せ参じましたのには
理由がございまして―――」
と、手元のリモコンに手をつけた。
すると、
あの男が、画面に出てきやがった。
相変わらずのニヤケづらで、
「やぁ、ブロゾン君、それと奥様、はじめまして。」
なんて抜かしやがった。
「早速、本題に入るとしよう。
今日、君たち夫婦にわざわざ足をお運び頂いた
理由は他でもない
ブロゾン夫妻。あなた方に是非
会わせたい方がいらっしゃるのです。」
奴に促されて、2人くれぇのでけぇ男が誰か連れて
きた。画面の奥から出てきたのァ、
なんと、うちの息子だった。
「助けて!パパ!ママ!」
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