#5 こいつかよ…

コイツかよ…



皆さァん、誰だと思います?


うちの息子の通う学校にノコノコ来て、


根掘り葉掘り聞いてった、


リムジンのおっさん。


…リムジンなんぞを乗り回すことが出来る


程の権力者で、ジェイクが俺の息子だって


のを知った上で息子に近づくことが出来た


奴。


偽刑事のパトリック・ラシター…いや、


ジャック・ウォーカーやトニーを使って俺


ら── 俺と、俺のバンド仲間で、ダチでも


あった、ジョニー・ガーガンを殺して、


そのジェニファーって子をも、もろとも


殺そうとして下さった、


「お優しい大先生」


ジョー・ブルさんですよ。


「ジョー・ブル…テレビに出てた、

あの人?」


あ、そうか。こいつぁなんも知らねんだっ


たな。ったく、いい気なもんだぜ。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


キンコーン。


誰だよ?今取り込み中…だ…?


「誰だ、オメェら?」


人の家にズカズカ入ってきやがって。


おキマリの制服に、胸元にゃ金色の


バッジ。


「なんか用かい?」


なんなんだよ、誰が呼んだ?


聞けば、リンダの母ちゃんと父ちゃんが、


「娘を攫われたー」


だの何だのとギャーギャーのたまったらし


い。


ったく、あんなヤク中のクズ野郎共にまん


まと乗せられやがって…こいつァなぁ──


「お騒がせ致しまして大変申し訳ございま


せん。実は私たちの息子が数ヶ月前から行


方不明になっておりまして、リンダさんが


その息子の行方を知っているかもしれな


い、との事でお連れした次第でして…」


クリス、ありがとよ。コレでコイツらも


ジェイクの件で動くかもしれねぇ。


…と思った俺が間違いだった。


「署にはあなたの息子さんの捜索願などで


ておりません。あなた方の勘違いでは?」


サラッと冷たく言いやがった。


「そんなハズはありません!何度も何度も


警察の方には、息子を探して下さるようお


願いしていました。勿論、捜索願だって何


度も出しています!」


クリスの身体は、怒りからなのか、ケーサ


ツへの憤りからなのか、ぶるぶる震えて


た。


そりゃあそうだ、何年もアイツのことほっ


ぽってた俺と違って、こいつぁジェイクを


ずうーーーっと独りで面倒見てたんだもん


な。


「そんな訳でさ、今日んとこァ帰ってくんないか?」


つって俺ァ追い返してやろうとした。


だが、


つくづくヤな事ってのぁ続くもんだ。


ここで普通なら、


「分かりました、署へ戻って息子さんの件


について、捜索願が出ていないか再度調べ


てみます。バージントンさんへもこちら


からご説明させて頂きます」


とか何とかなるもんだと思うだろ?


俺らもそう思ってた…


思ってたんだけどさァ?


「我々が間違ってるとでも言うのか!」


なんていきなり怒鳴ってきやがった。


これァ…マズイ流れ、ってやつかな?


「署へ来て詳しく話を聞かせてもらおうか!」


マズイ、確実にマズイ…そう思うだろ?















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