《第拾捌話》特徴

「レオは何か武器とか使ってないの?

僕みたいな零式プラズマ狙撃銃持ってたらさ、結構 楽に敵倒せると思うんだけど…………」



「んーなんだろうな、今のところは戦ってて大変だなって思ったことあんまないし、特に困ってることはないから、そういうのは必要ねぇな」



「え〜それ、もったいないな〜

僕だけ無傷で楽な思いして、レオだけ傷つきながら一生懸命戦ってるのなんて嫌だよ〜。

レオには健康で長生きしてもらいたいし……ペトラもどこかで生きているかもしれない。

またみんなで馬鹿みたいに遊んでさ、歳重ねていきたいな!!

それに僕たちみたいな、人体実験で肉体を改造されて強くなったっていう人がいつ現れるかも分からないし、それが敵か味方かも分からない。

だから僕が、レオのために……僕の願いのために……画期的な武器を作ってあげるよ。

まぁ正確に言ったら、僕が大まかな形と機能を武器開発科に提案して、後はそれを実際に作ってもらうっていう事なんだけどね。

少しでもレオの力になりたい。

一緒に戦争を終わらせて、またみんなで平和に暮らそうよ」



「カール…本当にありがとな。

3人の中で誰よりも友達思いなお前がいるから俺はここまでペトラのために頑張ってやってこれたし、どんなに辛い場面でも生きようって思ってこれた。

お前は俺の心の支えだよ、これからも世話になるぜ。

それになんて言うんだろうな、俺はカールの事を信頼してるし、カールもなんかあったら俺に相談とかしろよ、友達なんだし。


そう言えば、武器の事なんだが……俺はカールに任せるよ。

期待はしねぇけど、カールなら俺のために良いものを作ってくれるって信じてるから……楽しみにしてるな 」



「そこは任せてよ!

レオを ぎゃふん と言わせるように頑張るからさ」



「カールの零式プラズマ狙撃銃、あれかっけぇよな。

まぁ、俺の能力じゃ狙撃銃は生かされないから、実戦向きではないけど……

遠征から帰ってきて休暇もらえたら、試しに撃たせてくれよ。

実は前々からお前の銃 気になってたんだよな。

しかし、どういう仕組みなんだあの銃?

コンクエストの身体能力向上で、普通の歩兵団が使う銃の弾なら目で追えるけど、お前の撃つ弾は見えない上に、銃声音の後に小さなチリチリした光が見えるんだが……

それに着弾点は大きな爆発起こすし」



「あっ、あれね〜うん。

レオはプラズマって、そもそも どういうものか知ってる?

簡単に説明するとね、プラズマは物質の第4の状態の事なんだ。

まず始めに、分子同士がしっかり結びついて、形が変わらない状態固体

次に、分子同士が結びついているけど、形が変わる状態液体

それから、分子同士の結びつきがゆるく、形や密度も変わる状態気体の3つが存在する。

僕達も学校ではここまでしか教えられなかったけど、実は4つ目の状態も存在していたんだ。

それは、気体の分子から電子が飛び出して、自由に動きまわる状態(電離した気体)《プラズマ》。

このプラズマという物質の状態は、分子が自由に運動していて、運動エネルギー、熱エネルギーが高いんだ。

そして、このエネルギーを零式プラズマ狙撃銃の中で増幅させて、それを専用 実包(弾薬)に発砲時 練り込み、目標を狙撃する。

だから、撃ち出される時の弾のスピードも通常の物とは比べ物にならないくらい速いし、着弾点に対する運動エネルギーも桁違いで、さらにプラズマを練り込む事でそれまで差程 影響を与えないほど小さかった熱エネルギーが一気に膨れ上がり、結果 弾着時に大きな爆発が起こるんだ。

これが僕の使っている零式プラズマ狙撃銃の仕組みかな。

でさ、僕も気になってたんだけど……レオの能力ってどんなやつなの?

大体の能力は前に少し聞いたけどさ、細かい所までは聞いてないから……教えてよ!!」



「俺かぁ……俺の場合、能力って呼んで良いのか分からないが、蟹ってイメージしてくれたら理解しやすいかもなぁ。

前にも言った通り、俺は通常兵器くらいなら身体に当たっても、かすり傷が付くか付かないか程度で済む……簡単に言えば、蟹の甲羅だな。

後は、それに加えて筋力増強か……

ほら、コンクエストの能力って自分の感情によって左右されるだろ。

だから、いつもは通常の一般的な体つきだけど、戦場に出る時は《強い》《大きい》だったり、《硬い》ってイメージをして、一時的に体を倍近くの大きさにしてるんだよ。

突然だけど、お前握力どのくらいだ?

この前 定期的に行われる軍の体力テスト受けた時、俺 能力使って計ったら、機械ぶっ壊しちゃったぞ。

まぁ、要は測定できないくらい力あるって事なんだけどさ、Dr.キール曰くいわく1トン前後あるだろうって。」



「じゃあ、武器開発科に作ってもらったとしても、すぐに壊れちゃうかな……

むしろ、何か付けることによって弱体化しちゃったりして。

う〜ん、そこん所も上手く考えないとね」



「あぁそうだな、よろしく頼むぜ。

せっかく作ってもらっても、使えませんでしたじゃ、俺もカールに申し訳ないからな、しっかり設計してくれよ!」



「改めて…………任せてよ!!」



B4会議室を出た後、そんな話をそうこうしている内に2人は軍の敷地内にある、実験棟の開発部 武器開発科の扉の前に着いた。




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