《第拾陸話》軍令
「はぁ、はぁ、やばい。
5分前集合が当たり前なのに、時間ギリギリに呼びやがって。
《コンクエスト》を何だと思ってるんだよ、あいつらは。
ふざけんな!」
「確かにね。
変わり者のDr.キールの実験室は軍の中央棟からだいぶ離れてるから、走っていかないと間に合わないよね 」
「軍の奴らだって俺たちの居場所くらい把握してるだろうに……
それなのにこんな急に呼びつけて、クソっ」
B4会議室前到着。
「服装大丈夫?」
「カールこそ大丈夫か?
ネクタイ曲がってるぞ」
「あぁ、ありがとう。
むち打ちにされるところだったよ、助かった。
じぁ、行こうか」
《コンコンコン……》
「失礼します。
キャンサー中隊長、ライブラ中隊長であります。」
「入れ」
《失礼致します》
「楽にしてよい。
単刀直入に、要件は大体分かるとは思うが……3日後の北西遠征について作戦を述べる。
まず、第1にお前らはコンクエストだ。
敵にその体が渡るなんて馬鹿げたミスはするなよ。
それは帝国の終わりを告げる。
私からは以上だ、ヴィルヘルム後の説明を頼む」
「かしこまりました。
これより北西遠征の概要を伝える。
124陸上作戦部隊中隊長キャンサー、169陸上作戦部隊中隊長ライブラ。
両中隊長には3日後の12時00分をもって、北西約95km先にあるゼチーネという国へ向かってもらう。
そして今回の目標は、ゼチーネを中心に東に位置するザスレシル地方の3つある空軍基地の殲滅である。
作戦成功次第、ただちに帰還。
これが一通りの流れである。
追って各大隊長より細かい指示がある。
何か質問はあるか?」
《いいえ、ございません。失礼致しました。》
自分たちよりも、遥か上の立場にいる、貫禄のある、人を前に2人は緊張で胸が張り裂けそうだったが、何とかB4会議室から出てきた。
3年前……当時15歳のレオとカールは無断で軍の施設に侵入した。
そこで運悪く、館内の兵士に見つかり、《コンクエスト計画》の実験体として使われる。
不幸中の幸い、生き残ってしまった。
1000人、試して1人生き残れば大成功という実験に残ってしまったのだ。
実際の国籍は軍の所属するものと同じだが…………軍内部では、何処の馬の骨とも分からない少年達が機密兵器として戦果を上げていることを良くわ思わない人も少数存在する。
上層部も派閥によってだが多少なりとも存在する。
だが、誰がそのような考えを持っているかは分からない。
だから、肩身が狭いとまでは言わないが、1つ1つの行動を注意しなければならない。
全ての行動に生死が伴っている。
先程のB4会議室にいた上官もどちら側か分からない。
「誰が信用できるか見極めないとな」
「うん……そうだね。
首かっ切られないように、頑張んないと。
今後もイケそうな上官がいたら、仲良く?親しく?しないとね」
「俺達は《コンクエスト計画》の一部しか知らないからな。
詳しく知ってるやつに会えるといいな」
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