《第拾肆話》能力
「そうは言ってもなぁ……
お前たちは《コンクエスト》の事を、自分たちの事を、どのくらい理解しているつもりじゃ?
この《コンクエスト》の能力を甘く見てると、近い未来に大怪我をする事になるぞ。
それだけは絶対に避けなければならない。
ただでさえ、人体改造で大幅に人間の力を、人間の陣地を、超えているというのに、そこから更に無茶をし続けたら、お前らは人間としては生きられなくなるぞ」
「あぁ、その事は耳にたこができるくらい聞かされたし、知っている。
それでも頑張らなきゃいけない理由が、俺にはあるんだよ」
「……これも、ペトラという少女のためかのぉ……」
「Dr.キール、僕たちの親友のペトラについて知ってることはありませんか?
前に実験室に入った時に、資料の中に写真が入っていたんです」
「すまんのぉ、軍の施設は何個もある上に秘密が多いのじゃ。
力になれず、本当にすまんのぉ」
「何か情報が入ったら、直ぐに俺たちに伝えてくれ、頼む」
「了解じゃ」
現在コンクエストとして戦場で働いている者の数は不明。
なにせ軍内部でも最上位の秘密事項で、関係者のおおよその数すら一般幹部でも知りえないほど、その情報は厳重に警備されている。
だが、その圧倒的な力を保有するあまり、その存在は多くに知れ渡り、1年余りで兵士の間では絶対的勝者ギウィントとしてその名を馳せていた。
当初、軍の計画では、40人の小隊を目標とした《コンクエスト》の人体実験が進んでいた。
しかし、その大きすぎるエネルギーを前に耐えられるものは少なく、1000人にその実験をして、結果的に残る者は1人いれば大成功といった程に不安定なものとなっていたのだ。
それでも、お国のために力になれるなら本望だと、水面下で行動していたのにも関わらず、多くの有志が一同に集まった。
それが約10年前のことだ。
そんな選ばれたものだけがなれる《コンクエスト》としての能力は人それぞれで、1人1人大きな特徴がある。
また、この能力は基本的に自分の感情によって、コントロールすることができる。
そして、レオこと《キャンサー》は、高いガード性能を特徴としており、銃弾やミサイルなどの攻撃を受けても、それを弾き返す程の硬さが備わっている。
一方、カールこと《ライブラ》は、敵に視認されにくい、されない、事を特徴としていて、また視認されないだけではなく、あらゆる軍のレーダーをもってしても発見することの出来ない能力がある。
それから、《コンクエスト》として生き残った、選ばれた、者には 視力 聴力 筋力 などの身体能力が大幅に強化され、兵器と呼ぶのにふさわしい、バケモノへと変わっていくのだった。
「そう言えば、次の戦地はどこだっけ?」
「北西の何処かだったような……」
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