《第拾貮話》欲望

突然だが、チンパンジーと人間の違いはなんだ?



外見が違う?


チンパンジーよりも人間の方が賢い?


人間の方が感情が豊か?



僕から言わせてみれば、チンパンジーも人間も さほど違いはない。



多くの人はこの意見に肯定的ではないはずだ。



なぜなら、人間はチンパンジーから進化し、《人間》として独立していて、人間はチンパンジーの上位互換みたいなもので、人間は人間以外の生物を支配してきたからだ。



確かに僕ら人間は、チンパンジーには成しえなかった事をいくつもしてきた。



そして、これからもしていくだろう。



だがチンパンジーと人間、その両方の本質は何も変わっていなく、同等と言える。



進化する過程において脳は重要な鍵だ。



脳の大きさが全てではないが、多少なりともその用途や目的に合わせて変化し、そして今の《人間》がいる。



進化の前後で比べて、圧倒的に人間の方が考えれるようになり、更にいっそう人間味というのが増した。



それ故に人間は自分自身を過大評価し、自分はチンパンジーとは違う、と自然と思い込んでしまっているのだ。



平面的に見れば人間はチンパンジーよりも優れているかもしれないが……



立体的に見れば、それまで見えていなかった、見ようとしていなかった、見て見ぬふりをしていた、人間の本質が見えてくる。



先程も言ったように、チンパンジーと人間にはさほどの違いはない。



どれだけ人間が進化しようと、誰も《欲》に打ち勝つことは出来ない。



それが人間の本質なのだから。



だから、人間はまだ《人間》をしているのだ。



地球上でどの生物よりも文明を発展させてきた人間だが、発達し過ぎたからこそ見落としている点があるのだ。



人間はある点を過ぎると、合理性よりも自分の感情を優先し、その後生じる結果を知っていた、分かっていたとしても、理性をどこかへ放り出して、自分のしたいという《欲》に忠実にしたがう。



どんなに進化しようが、所詮は《人間》。



チンパンジー、その他の獣と同様に自分の《欲》をコントロール出来ない、ただの醜い生き物。



この事から僕は、チンパンジーと人間にさほどの違いはないと思ってしまう。



無論、こんな事を考えている僕でも、時に感情的になったりする。



それを知っていても、抑えようのない何かが溢れて、抑えられない時がある。



誰にでも存在して、自分でも気づかく心の裏にいつも影を潜めている。



誰にも気づかれないように……




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