《第拾壱話》道理

辺りは暗く、小さな明かりが僕たちを薄ら照らした。



《やばい、殺される》



ピリつく空気の中、2人はどうにか逃げ出せないかと模索するが、辺りが暗く得られる情報が極わずか。



活路が見いだせず、立ち往生する。



「 細かい説明は省くが、お前らにはこれからコードネームを言い渡す。

そして、軍の秘密を知ったお前らには、強制的に《コンクエスト》として働いてもらう。

光栄だと思えよ」



いかにも偉そうな人がこちらに近ずきながら、そう言う。



「質問した答えに適さなかったら、この場で即座に銃殺刑だ。

注意しろ。

まずはお前だ、名は何という?」





「レオ」



「ふっ、薄汚い名だな、反吐が出る。

次はお前だ、名は?」



「カール」



「お前も貧弱そうな名前をしてんな。

今からお前らにはそれぞれ、キャンサー、ライブラだ。

いいな?」



「…………」



「お前ら返事をしろ!

今からお前らは軍人だ。

死ぬまで軍人だ。

我らは誇りある帝国軍人なのだ。

寝ている時も食事をしている時も何をしている時もそうだ、だから一瞬たりとも気を抜くな。

気を抜いたら死ぬと思え。

返事は?」



《はい!》



理不尽過ぎる世の理に疑問を浮かべつつ、銃殺を免れるために2人は返事をする。


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