《第拾話》発見

「とりあえずペトラがいるか確認して、ひとまず脱出しようぜ」



「あぁ、そうだね。

ここにいると何が起こるか分からないからね」



2人は物音に注意を払って、ペトラを探す。



実験室内の造りは複雑で、小さな部屋が何個もあった。



「おい、カール。

これを見てみろ」



そう言いながら机の上に置いてあった、被験者の写真と詳細が書かれている資料を手に取った。



「これは……ペトラじゃないか……」



「ペトラは生きてたんだ…」



「良かった…ペトラの生死を確認できただけでも大収穫だ。

早くここから逃げ出そう!

これ以上ここに長居したらやばいよ、レオ」



「あぁ…そうだな、行くか」



そして2人は、ここに居たという痕跡を残さないようにペトラの資料を机に起き、実験室の入口に体を向けた。



刹那、それは突然の出来事だった。



「死にたくなければ、ゆっくり両手を頭の後ろに組み、こちらを向け」



pm40(小機関銃)の銃口を頭目掛けて、圧のある声が2人の背筋を硬直させる。



「お前らはどこから来た?

どっかの工作員か?」



「まぁ、どうでもいいだろ。

どちらにしろ死ぬんだ、そんなこと言っても無駄だ」



そうして2人の軍人のうちの1人が、慣れた手つきで2人の子供を気絶させる。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「おい!おいって…おいって言ってんだろ!

いい加減起きろよ!ぶっ殺すぞ」



荒々しい声を、部屋いっぱいに怒鳴り散らした最悪な目覚ましで2人は目を覚ました。



《ここはどこだ?》


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